ひつじ泥棒2

Who stole my sheep?

瞬きもせず、地底人。

 

ここからが旅のメイン、山口県です。

 

山口といえば、わたしの中では「瞬きもせず」という山口が舞台の少女漫画です。授業中に友だちからまわってきたこの漫画を、ほんわか胸を震わせて読んだ記憶が……(遠い目)。今日は彼と話せたとかあんまり話せなかったとか、お父さんのことがちょっと恥ずかしいと思ったり、そう思う自分に自己嫌悪だったり、本当に普通の高校生の恋愛や日常を描いたお話です。今はまたいろいろ違うんでしょうね。

 

これがねえ、切なく、甘酸っぱく、きゅんきゅんするんですよね。山口弁もまた可愛いし。はあ、懐かしい。あら、このふたりって、どうなったんでしたっけ。みんな幸せになってるといいのですが。まったく覚えていませんが、ドロっとした記憶もないので、きっといい感じになるんでしょうね。わたしもハッピーエンディングにきゅんとする年頃があったんですねえ。ふう。

 

 

そんなわたしの思い出の山口。漫画のほかにも幾つかの心惹かれるポイントがあったのですが、その一つが秋芳洞、カルスト台地です。

 

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宇宙人もいるんじゃないかなあと思うのですが、それと同じくらい地底人もいるんじゃないかしら、少なくともいてもおかしくないと思っています。地下街だ、地下鉄だ、鉱物だ、石油だ、レアメタルだと言いましても、地球的にはほんの表層、ちょっと引っ掻いだ程度のこと。地底の奥深くにはには地底人の国家があるにちがいない。

 

その地底人たちの国への扉が隠されているのが洞窟です。「カルスト」という硬質な語感、それに似つかない牧歌的なカルスト台地の風景、その地下に広がる日本最大級の秋芳洞、地底国家への入り口があっても全然おかしくない。……的なことを考えたり考えなかったり。

 

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去年の夏に行った日原鍾乳洞(のブログ)も楽しかったですが、秋芳洞はスケールが大きい。ひとつひとつが予想を超えて大きかったのがワクワクポイントでした。それだけに、暗さと巨大な鐘乳石に怯え、全力で泣き続けるこどもちゃんもチラホラ。気持ちはわかります。怖いですよね。かと思えば、「わたしネ、ここはネ、全然平気だったヨ。最初はネ、ちょっと怖いなーってネ、思ったけどネ、わたしネ全然大丈夫だった。」のセリフをドヤ顔で延々言い続けるこどもちゃんがいたり。ふふふ、かわいい。

 

この100メートル上の地上に広がる秋吉台には、鍾乳洞の中にあるエレベーターから行くことができます。

 

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じゃーん。

 

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じゃじゃーん。

 

と、書くのは楽ですが、この鍾乳洞からのエレベーターを出て、この風景が広がる場所まではおよそ徒歩5分ほどの腿にじわっとくる上り坂。「もーねえ、お父さんねえ、ほんっと無理」と歩くことを拒否した3歳くらいの息子をおぶりながら愚痴るお父さん。お父さん、ガンバ。

 

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近くによるとこんな感じでした。石灰岩なので、うかつに座ると服が汚れます。こんな大きな岩があったら、登ったり座ったりしてみたいのが少年心なのか、座っては母親に「白くなるから座んないの!」と叱られる少年も続出。どっちの気持ちもわかります。

 

授業でやった景色を満喫し、再びエレベーターで地下にもぐり、鍾乳洞を通り抜けて現世に戻ります。たっぷり歩いてお腹もすいたので、「日本一美味しい」という金賞を受賞したコロッケを食べます。コロッケ150円、こちらもぶちおいしい。

 

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秋芳洞の入り口からバス停までの道は、お土産屋さんになっています。鐘乳石に名前を彫って表札にしてくれるというお店が多かったです。そんな鐘乳石表札屋さんの店の軒先に……

 

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アウトでしょ。ふふ。そしてこのウエストのくびれ。しかも700円、強気。恐るべし。地底人のしわざかもしれません。