アイスランドのひつじの存在が気になり始めたきっかけは、アイスランドを特集した数年前の旅雑誌。カメラ目線のひつじたちが写っているページに釘付けになりました。
文・撮影=ふかわりょうーーーあの?きらいじゃない感じの人です。ひつじ好きと知って一気に親近感湧きました。何度となくひつじに会いにアイスランドに行っているそうで、雑誌のひつじは全て彼撮影。「おーい!」と声かけると顔をあげてこちらを見ると書かれていました。いつかわたしも「おーい!」ってやりたい。ひつじにこっちを向いてほしい。
今回のアイスランドのいちばんの楽しみ、ひつじです。
もくじ
アイスランディック・シープ
美人母娘
アイスランドのひつじはとても良い顔をしています。毛はカールされてクルリンというタイプではなく、ウェービーな長髪。顔が小さく、豊富な長い毛に覆われた体から、しゅっとした細い足、しゅっとした美しい顔、そして控えめで上品なツノがついています。お美しくていらっしゃる。
9世紀、アイスランドに入植してきたバイキングの子孫に持ち込まれたアイスランディックという品種の純血子孫。孤島という地理条件から、他品種との交配が行われることもなく、世界最古の純血種。それゆえの神々しさでしょうか。
ひつじ注意
おみやげで買ってきた、ひつじ標識マグネット
アイスランドはひつじ国です。車でどれだけ走り続けても、8月のアイスランドの景色の中にはひつじがいます。時に道路脇にひつじが待機して、車が通るタイミングに合わせるかのように道路を横断していきます。
ひつじに車を止められたあのトキメキ忘れられません。目の前をトコトコ悠然と横切るひつじ、対向車線の車も満面の笑みを顔に浮かべてひつじを目で追います。ひつじは人を幸せにしてくれますね。
そしてキュンキュンしている間にシャッターチャンスを逃す。
ひつじ大国
この窓の向こうに広がる
(ざっくりと)6箇所にちらばるひつじ群
うち、ひと組(左手前を拡大)
アイスランドの低くなだらかな丘陵に、急な山の斜面に、草がある限りひつじあり。ホテルの窓から、走っている車から、アイスランドの広大な原野に放たれたひつじを見ることができます。ここだけ、という限られた場所だけでなく、ずっとずっと、何時間も、永遠のようにつづく、ひつじのいる風景。
Where are sheep?
一部拡大(赤い屋根の納屋上方)
夏の間野生に放たれたひつじたちは、9月から10月にかけて、それぞれの役割(繁殖用、食肉用)のために品定めをされるために集められるそうです。次に行くなら9月かな。
アイスランド料理を出すレストランのメニューで「Svið/スヴィーズ」または英語で「Sheep Head(ひつじの頭)」と書かれたメニューを見かけます。注意書きとして「Extreamly graphic(刺激的な見た目なのでご注意ください的な意)」と書かれています。ネットで検索してしまいましたが、……言葉を失う画像の数々。う……。
たんぽぽ好き
アイスランドのひつじ、選り好みつつ日がな一日草を食み続けています。ごく稀に、人の手から草を食べてくれるひつじもいます。そんなラッキーなひつじとの出会い、その中のひとり、たんぽぽが大好きひつじがいました。前足でねえねえと呼ぶように「たんぽぽちょうだいな」アピールを盛んにしてきます。たんぽぽの葉を、しゃくしゃくとおいしそうに咀嚼する音。ひつじと、たんぽぽとわたし。幸せです。
おーい!
ふかわりょうに倣い、わたしも「おーい!」やってきました。
とろけそう。
ただ、ひとつショックなことがありました。ひつじさん、誰の「おーい」でも振り向いてくれるわけではなさそうです。
わたし「おーい!」
夫「おーい!」
……わたしの方がひつじ愛、歴も長く、深いのに……。つれないひつじさん。
つづく