中国転勤の話を聞いた時、最初に出た言葉は「え、じゃあオリンピックは?」
2013年にブエノスアイレスで行われたのIOC総会で決まった東京オリンピック。地球の対角線上に位置する東京から、オリンピック関係者やメディアが群をなしてブエノスアイレスにやってきたあの時、2020年の東京開催が決まり「東京オリンピックでぜひともボランティアを!」とときめいた人はわたしだけではなかったはず。
ボランティアの募集が始まる2018年、アスリートかのように「じゃあオリンピックは?」となったわけです。夫は「北京でやったらいいんじゃない。(2022年冬季オリンピック)」とクールな返答。……う。引越し先は北京ではなく上海です。
ふたつ目に気にかかったのは「え、じゃあワールドカップは?」です。中国、出ませんし。
中国のスーパーリーグでワールドクラスの選手たちがプレーしているのは知っていましたが、それとワールドカップはまた別の話。日本ではNHKと民放で全試合のライブ中継が早い段階で決まっていましたが、中国はどうなのでしょう。
中国のインターネット環境もよく知りませんし、せめてネットでライブ・ストリームで観戦できるのか、満足のいくワールドカップライフを送ることができるのか。不安が募ります。
中国に来てわかりました。わたしの心配は全くの杞憂にすぎなかったことを。国のトップの方がサッカーが大好きとか、ワールドカップの開催開国になるべく中国政府が色気を出しているとか、そのせいかどうかは知るところではないのですが、想像の遥か上をいくワールドカップ観戦環境が用意されていました。
実際の試合を見ていても、ずらっと並んだ中国企業広告に驚きます。FIFAの公式スポンサー「ワンダグループ(不動産)」、ロシア杯の公式スポンサーの「ハイセンス(電機メーカー)「ビボ(スマートフォン製造)」そしてアルゼンチン代表のメッシをCMに起用している「蒙牛(乳製品)」が中国企業。
この他も、テレビCMはメッシ、ネイマール、Cロナウドの3トップを筆頭に、ドイツなどあちこちの代表選手をつかったCMが流れています。
テレビ放送はというと、全試合ライブ中継はもちろんのこと、CCTV5という中国国営放送局、中国中央電視台のスポーツ専門チャンネルがワールドカップ専門チャンネルになっています。日がな一日、ゲームはもちろん関連番組を放送しています。
住んでいるアパートのラウンジもワールドカップ仕様に飾り付けられ、住民みんなでワールドカップを観戦しようイベントが行われています。中国は出ないんですけどね。街も便乗商法で溢れかえり、パブリックビュー、ハッピーアワー、ワールドカップ仕様の商品たちでいっぱいです。
ワールドカップ満喫休暇のつもりでいる今日この頃、現実の世界とは隔離されたワールドカップの沼の中にどっぷりとはまって生きているので、世間の生のリアクションは存じ上げておりません。ほんとうの中国はどうなのでしょう。個人的には大満足なワールドカップワールドです。
中国は出てないんですけどね。