もくじ
中世といえば、拷問
ヨーロッパには有名な拷問関連の博物館が数多くあり、拷問器具やその背景などが展示されています。古代から始まる拷問文化(と言っていいのか)は、中世に入ると産業の発展が拷問器具にも応用され、さらなる進化へとつながっていきました。
人間の飽くなき探究心、情熱、想像力も、一歩方向性が変わるとおぞましいことになってしまうのは中世も今も変わりません。器具ひとつとっても、それを発明した人の思考回路をトレースしながら見ていると、血生臭さやおぞましさもひとしお。
プラハにも複数拷問博物館があり、プラハ城内にも拷問塔があります。有名どころの拷問器具のバイオリン(首と両手を入れて町に連れて行かれ見世物に)や、スパニッシュブーツ(ふくらはぎをいれ、ギリギリギリと……)なども見ることができました。その他……自主規制。
MOC:共産主義博物館
右手にちらっと写るのはマルクスの銅像。「夢・現実・悪夢」の3つをテーマに、1948年のクーデターから、1968年プラハの春、そして1989年ビロード革命を経て共産主義が崩壊するまでをわかりやすく展示している博物館。
この天井には、言わずと知れた共産主義の赤い星。人間の頭と手足、5枚の花びら、労働者の5本の指、5大陸を表しています。
ヨーロッパの共産主義時代しかり、ラテンアメリカの軍事独裁政権時代しかり、今も世界のあちこちで起こっている様々な出来事と、わたしの今と。歴史でもなく、わたしの毎日と同じタイミングで起こっていることを意識させられます。
世界で最も美しい図書館を持つ「ストラホフ修道院」
重めのお気に入りが続いたので、ひつじに癒してもらいます。教会アートにひつじが描かれることは多いですが、教会のトップに君臨するひつじというのは初めて見ます。
映画「007」や「アマデウス」でも使われた2階建の書架を持つ「哲学の間」と、乙女な白い漆喰が美しい「神学の間」という2つの「世界で最も美しい図書館」を見に行きました。
キャッチフレーズのついた図書館や本屋が街にあれば是非訪れたい派。ちなみに次に行きたいのはメキシコシティにあるヴァスコンセロス図書館(Biblioteca Vasconcelos)と、ドイツのシュトゥットガルトにある私立図書館(Stadtbibliothek Stuttgart)のふたつです。
フランツ・カフカいろいろ
20世紀を代表するチェコ生まれのユダヤ人、フランツ・カフカ。「ある日目が覚めると虫になっている」あの独特でシュールすぎる世界観が、彼固有のものなのか、生まれ育った町の影響なのか、時代のせいなのか、なんなのか。
そのあたりが感じられるものはあるかなーと思いながら、シナゴーク、ユダヤ人街、生家(まさかの工事中。散歩1参照)、カフカ博物館、黄金の小道、カフカオブジェなど、カフカゆかりの場所を歩いてきました。
カフカの博物館には、直筆の原稿などはもちろん、作品の世界観を映像化したり展示しているものもあり、地味でしたがインパクト大でした。
わたしの今使っているサイン(パスポートなどの)を考えていた時に、最後の最後まで迷ったのがカフカのサインでした。結局違う方の署名を模したのですが。2020年にパスポートの更新なので、それに合わせてカフカ風サインに変更しようかと目論んでいます。柔らかい雰囲気で、横線が太いのが特徴的な、味わいのある文字です。
博物館前には小僧ならぬ、2体の成人男性のPeeing Statues(チェコ名:Sousoší čůrajících pánů)があります。こちらも上のカフカの顔オブジェの彫刻家、ダヴィッド チェルニー(David Černý)氏の作品。
氏の作品は、他にもハイハイをする巨大な赤ちゃんのブロンズ像や、この赤ちゃんがテレビ塔にハイハイで登るオブジェ、建物から突き出た棒に片手でぶら下がるフロイトなど、不思議なオブジェがプラハの街を歩いていると出会います。
ちなみに、二人の男性が放尿しあっている図ではなく、彼らの立っている土台がチェコの形になっていて、国に向かって放尿をするという、いずれにしてもシュールかつ、意外に毒のある作品。
以上、お気に入り4つを選んでみました。写真がないので選外としましたが、友達にいいよと勧めてもらった人形劇や室内楽の演奏会、バレエなどのエンターテイメントもよかったです。毎晩何かしらの演目があり、わざわざ前もって予約をいれずとも、当日で十分大丈夫でした。 気楽に芸術や文化的なものが楽しめる街ってよいですね。