とんかつ、ビーフカツ、チキンカツ。
まったく個人的な感覚ですが、ビーフとチキンはカタカナ表記がしっくりくるのですが、とんかつはやっぱり平仮名が一番美味しそうに見える気がします。
ビーフカツの一番好きな食べ方は、ヨーロッパ風の薄く伸ばしたビーフをハーブのパン粉で揚げ焼き。おうちカツ率が高いのは、圧倒的にチキンカツです。
こどもの時、おうちでつくる母のとんかつがとても好きだったのですが、自分ではなぜか上手く作れず、いつの間にかまったく作らなくなりました。何が違うんでしょうね。お肉の差?……いや、腕の差ですね。
そんなわけで、今ではとんかつは外で食べるものとなっています。外で食べるからこそ、家庭ではなかなか出せないとんかつを求めたくなります。ごちそうレベルのとんかつを出すお店があると聞き、いってきました。
すぎ田 - 東京都 台東区 - とんかつ料理店 | Facebook
足を踏み入れると、暖かい雰囲気の白木のカウンターが正面にドーン。う、美しい。油モノを扱うお店とは思えないさっぱりとした清潔感を感じる店内です。
美しい木のカウンターの丁度真ん中あたりには、圧倒的な存在感のふたつの大きな銅製の鍋。たっぷりの透明な油がキラッキラしています。直径わたしの腕の長さくらいありそうな大きさ。
もうすぐお昼、という時間だったのですが予約できている人も多く、わたしたちで席がほぼ埋まったようでした。大きな銅の前の席に案内され、ふたつのピッカピカに磨かれた美しい銅の鍋で揚げられる様子は、ちょっとしたエンターテイメント。
油の温度が違うふたつのお鍋で、店主が高温の鍋、低温の鍋、高温の鍋ととんかつたちを放つ様子は見飽きることがありません。彼のあやつる長い長い菜ばしの上も下も、気合の入った焦げっぷりなのも気になります。
カメラをテーブルに出してはいたのですが、撮ってもいいですかと聞くのを忘れすっかり見惚れてしまいました。
そしていよいよ。
キメの細かいお肉。やわらかく、美しい味のヒレ肉。今まで食べたとんかつの中でも最高ランクの一品であることは間違いありません。
ちょっとクラっとくるレベルの美味しさ。しっかりとひと口ずつ集中して味わいたくなるとんかつでした。
黙ってヒレかつに集中しつつ、隣に座ったおそらく大学院か研究所のようなところで働いている同僚、もしくは先輩と後輩の関係の、若く健康的で知的な雰囲気の、おそらく男性は女性のことをかなり気に入っているけれど、女性の方は限りなくフラットな感情しかなく、純粋に日曜日の高級とんかつランチを楽しんでいる様子の男女の話にも集中しておりました。
ごちそうさまでした。