ワールドカップが終わりしばらく経ちましたが、ワールドカップが鎮座していました。いつまで置くのかしら。
ワールドカップって優勝以外はみんな敗者なんだなあと、決勝戦や3位決定戦を観ているといつも思います。今回のモドリッチしかり、前回のメッシしかり、疲れ切って、からっぽになった顔の男たちが、目の前ではしゃぐ勝者たちを眺める画。
その場はもちろん、何年経っても準優勝おめでとうな空気にはまったくならないところが、ああワールドカップなんだなあと思います。というワールドカップ所感。
諸処の都合でバタついた日々を送っていましたが、目処がついてきたところで外に出てみました。蒸し暑い夏の夜の、冷たい白ワイン。ありがたい。白ワインとイカの揚げたやつというのがわたしの夏定食です。
「中国って」というほど中国のことはまったく知らないのですが、上海(の近所)に限定)していうと、基本的に何を食べてもおいしいです。中華料理はもちろん、くだものも、お肉もなんでも。おいしいものもあるけれど、基本的に何を食べてもおいしくない所もあるなか、上海おいしい天国です。
そんな幸せ気分なところに、弾き語りのお兄さんが「日本からですか?」と声をかけて来ました。
「では、日本から来たお客さまのために、日本の歌を唄います」
日本人のお客さんだとわかって、スマートに日本の歌を選ぶところ。さすがワインバーの弾き語りアーティスト。スイートすぎるます。
「スキヤキ・ソング(上を向いて歩こう)」
おおお、そうきましたか。少しばかり渋すぎる選曲。気持ちはありがたいです。本当に。でもワインを飲みながら「上を向いて歩こう」は、人生初めてかもしれません。
ワインがもうすぐ空っぽになろうとした時に「もう一曲、日本語の歌を唄いますね」とお兄さん。
テレサテン「時の流れに身をまかせ」
……もうおなかいたくなる。カラオケ好きのお義父さんのストライクゾーン。
蒸し暑い夏の夜、おいしいワインと、イカの揚げたやつと、いい声のアーティストと、お父さん世代の選曲と、お腹がよじれる笑い。ああ、たのしかった。