ひつじ泥棒2

Who stole my sheep?

忘れられない、20歳のクリスマス

今週のお題「クリスマス」

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我が家のおじさんたち 2019
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毎年出勤してくるおじさんたち(左:2018 右:2017)

数年ごとに多少のバリエーションはあるものの、だいたい似たような感じのクリスマスを過ごしています。

幼い頃は、母の焼いたケーキをみんなで食べ、朝起きると枕元にプレゼント。子どもの頃は、それぞれの好きなケーキを食べ、チキンを食べるクリスマス。

学生の頃は友だちとクリスマスかバイト。社会人になるとふつうに仕事をし、クリスマスにかこつけ友だちと飲んだり。結婚してからも似たような感じです。

そこそこ長くなったクリスマス歴史、ひとつだけ忘れられないクリスマスがあります。

20歳のクリスマス。

アメリカ、オハイオ州の小さな町の大学に通い、ほとんどの学生と同じように大学の敷地内にある寮に住んでいました。

ホリデーシーズンは家族と過ごす一択の国、アメリカ。クリスマスの2、3日前には寮からは誰もいなくなります。それほど多くはない留学生も自国に帰国したり、旅行に出かけたり。

そんなクリスマス、わたしは日本にも帰らず、旅行にも行かず、何を思ったのか、どこにも行かず、誰もいなくなる寮に残ることにしました。

 

日本に帰れば、おそらく成人式に出て、友だちと会って、楽しいに違いないのですが食指が動かず。

ひとりで寮に残るなんて、アメリカ人的にはおよそ想像がつかないらしく、それなら家においでよと誘ってくれる友だちもいたのですが、ちょうど1ヶ月前のサンクスギビングの休みに、友人の実家でどっぷりとアメリカンなファミリーカルチャーにつかり、正直なところあのアメリカの田舎の濃ゆいソーシャルライフはパスしたい。

そんなわけで、友だちのお誘いをもにょもにょとお断りし、大学の寮にひとり残ることにしました。

 

今思い返してもあほだなあと思いますが、とにかく「約2週間一人で独りになる」をやってみたい、そんな好奇心に抗えなかったのです。こんな機会、今を逃したら二度とないかもしれません。

休みの間、大学内の寮は残る学生用のひとつを残して全部閉められました。休みに入るとあっという間に学生はいなくなり、10階建てのその寮に残ったのは、おそらくわたしの他にあとふたり。

ひとりは台湾からの留学生、もうひとりはアメリカ人。お互いまったく面識もなく、休みの間中も一言も話すことはありませんでした。全員「一人で独りになりたい」奇特な人たちだったのかもしれません。

 

インターネットも、携帯電話もない頃のはなし。テレビも持っていなかったので、朝から晩まで、好きな音楽を聞いて、本を読んだりしてたのかな?

何をしていたのか、何を考えていたのか、今となってはあまり覚えていませんが「ひたすらひとり」という状況を、ひっそりとワクワクし、しっかり楽しんだように思います。

明日も、明後日も、明々後日もひとり。ずーっとひとり。(知らないふたりはいないことにしています)

敷地内にほとんど人がいず、10階建てのビルにわたし(とあとふたり)しかいない、フロアにはもちろんわたしだけ、こんな感じの2週間。

こんな状態、後にも先にもこの時しかありません。誰とも会わない2週間はわりとちょくちょくありますが「誰もいないところに2週間」はそうそうあることではないでしょう。

そんなちょっとした興奮の、20歳のクリスマス。

 

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アイスランドのおじさんとトナカイ(with ブラジル猫)もいます