ひつじ泥棒2

Who stole my sheep?

備瀬のフクギ並木の集落で過ごす1日:ちゃんや〜

 

沖縄県北部の国頭郡本部町の備瀬(びせ)集落。美ら海水族館のあたりです。

案内板によると、今から400年ほど前からポツポツと人が移り住み、約350年前には既に今とほぼ同じような集落になったそうです。

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2万本のフクギ並木

濃い緑のトンネルが、集落の家々の周りをぐるっと囲んでいます。外からの目線を区切るむ垣根として、海風から守る防風林として、暑い時期(1年の大部分が暑い時期)には日差しを遮り、ひんやりと気持ちのいい影を作ってくれるフクギのトンネル。

この日はここ備瀬の集落の古民家に泊まる予定。それほど大きな集落ではなく碁盤の目のようになっているので、わかりやすいはずなのですが、上の写真のようにフクギの立体迷路のようになっているので、初めての人は迷子必至です。施設のサイトに「ナビには絶対に頼らないように」と注意書きがあり、サイトにある地図(すごいざっくりの)を見ながらなんとか到着。

琉球古民家ちゃんや〜

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ここに泊まります

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旧正月を祝う沖縄

海まで歩いてすぐの集落の中には古い家を立て直して住んでいる方もいれば、必要なところだけに手を入れて住んでいるかたもいらっしゃるそう。

泊まったのは、二間に台所とお風呂場とおトイレという、築約50年の古民家です。この辺りの建物は、玄関はなく居間から出入りするのが普通だそうです。泊まったところは、宿泊客が使いやすいよう縁側をつけたそうですが、本来は縁側もないそうです。

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こんな感じ

カーテンももちろんなく、電気をつけると丸見えなので(フクギが目隠しになってくれるけれど)夜は木の雨戸を引いて寝ました。雨戸初体験の夫がよろこんでいました。

沖縄の家と言うと赤い瓦屋根のイメージですが、赤いのはお金持ちの家で、普通の家はコンクリ瓦なんですよと「ちゃんや〜」の方が教えてくれました。彼女は生まれも育ちも備瀬の集落だそうです。「わたしは向こう側から嫁いできたんですけどね」

向こう側とは……。備瀬の集落の真ん中に公民館があり、集落の南(向こう)側と北(こちら)側。昔々のこと、古い集落によくありがちな話ですが、向こう側とこちら側はもちろん仲が悪く、地域の行事も常に「向こうvsこちら」で行われ、お互い相手方を変な人呼ばわり。人も変なら、犬も変、くらいのばちばちぶり。近所の人たちが「あっちの犬は性格が悪い」と真剣に話していたとかいないとか。

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集落の中心にある公民館

地元の方の話が聞けるのはとても楽しい。この辺りの風習のことなど、いろいろな話を伺ってきました。

ここ「ちゃんや〜」は、素泊まりもできますし、朝晩と別の建物にある同名の食事処で、地域の食材をふんだんに使ったお食事をいただくこともできます。我が家は「やんばる島豚あぐーしゃぶしゃぶ」のセットをいただきました。

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お食事処 ちゃんや〜

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本部町産の海ぶどう

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本部町産のもずく酢とミミガーの和え物

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ソーミンチャンプルー

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しゃぶしゃぶの野菜たち

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やんばる島豚あぐー

出てくるものみんな美味しく、オリオンビールも、泡盛も、シークアーサーハイも……ああ美味しい。今まで沖縄の食べ物はあまり口に合わない……とひっそり思っていたのですが、大間違いでした。沖縄メシ、サイコー。

夜は食事中にさーっと雨が降りました。近くに雨を感じながら、ひたすらのんびりできる場所。帰る頃には雨も止んで、集落で飼われているネコたちが遊び始めていました。

朝起きて、最初にするのが雨戸を開けること。それも簡単にすっと開く雨戸じゃなく、古民家らしい古い板を少し浮かせるようにして引かないとすぐに引っかかる、ガタガタっとする雨戸。

朝ごはんの後は集落をぶらっと散歩。前の晩の雨を含んだむせ返るようなフクギのトンネルや。トンネルを抜けるとすぐ海、古い家々がまだまだ現役で、すこし異次元感のある集落。そんな魅力に取り憑かれて移住して来たであろう外国人が家の配管仕事をしていた手を止めて「おはようございます」と挨拶してくれたり、朝のネコが不機嫌そうに挨拶をしてきたり。

ただ泊まるだけじゃなく、異文化体験のような「ちゃんや〜」楽しかったなあ。ごはんも美味しかったなあ。また来たいなあ。

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朝ごはん