ひつじ泥棒2

Who stole my sheep?

『セブン・イヤーズ・イン・チベット』を観てから『クンドゥン』を観る

 

f:id:pucayu:20200430165140p:plain

Seven Years in Tibet (1997)

やっと観ました、『セブン・イヤーズ・イン・チベット

初めて観たのは映画館で上映のとき、2回目は新作としてレンタルが開始されたとき。その後も観たいと思ったことは何度かあったのですが、謎なくらいいつもレンタル中で、10年ほどの間ついに見かけることはなく。

たとえ1本しか置いていなかったにしても、たまたま『セブン・イヤーズ・イン・チベット』だけがわたしの借りたいタイミングで10年もの間いつもレンンタル中ということは考えにくいのですが、何だったのでしょう。

そこからまた随分と時が経った2018年の秋、チベットに行く機会があり久しぶりにこの映画のことを思い出したのですが、撮影時も公開時もそうでしたが、20年経った後の2018年時点でも中国では上映禁止の映画です。

f:id:pucayu:20200503153654j:plain

ポタラ宮(2018撮影)

映画の終盤チベット侵攻が描かれており、どういうスタンスで描かれているのかも明確な映画のため、チベットロケの当局の許可が下りるはずもなく、その大半はアルゼンチンなどで撮影されたというのを知ったのは2018年にチベットに行く前でした。

今回あらためて映画を観てもあれがまさかセットだったとは信じられません。チベットの僧侶たちを映画のエキストラとして100名ほどアルゼンチンに連れて行って撮影されたそうです。ポタラ宮をはじめ、かなり細かな描写部分もリアルに再現されていました。

ちなみに監督をはじめ、主演のブラッド・ピットたちはその後無期限の中国入国禁止となっていましたが、2016年に以来初の公式訪問をしています。

f:id:pucayu:20200430162414j:plain

映画にも登場する砂の曼荼羅

オーストリア人の登山家ハインリヒ・ハラーブラッド・ピット)自身による著書を元に描かれた映画で、ハラーがヒマラヤ登頂に向かった先で第二次世界大戦が勃発、連合軍の捕虜となり収容所に入れられたのち脱走し、ヒマラヤを越えチベットのラサへたどり着く。ここまでが前半3分の1。中盤から後半にかけては、チベットでの穏やかな暮らし、ダライ・ラマ14世の家庭教師として宮殿に招かれてからのダライ・ラマ14世との交流、そしてチベット情勢が変わりハラーがラサを去るまでの7年間となっています。

このハラーという若く野心家で、傲慢な登山家、ブラッド・ピットが美しいのでつい見ほれてしまいそうになるのですが、控えめに言っていろいろクズです。が、14歳の若い国の指導者(ダライ・ラマ14世)と出会いとその交流を通して、成熟した人間に変わって行くのですが、その変化を説明なしに演技で見せるブラッド・ピットがよかったです。なんと言っても美しい。

もちろん、実際に登ったポタラ宮やラサの様子が詳細に再現されているところ、ダライ・ラマ14世の幼いながらにしてこのリーダーとしての性質にもグッときます。

f:id:pucayu:20200430165844p:plain

お美しい

この映画と時を同じくして、1997年に『クンドゥン』という映画が公開されます。こちらは、ダライ・ラマ14世の誕生から誕生からインド亡命に至るまでの前半生を描いた伝記映画です。ブラッド・ピットは出てきません。

セブン・イヤーズ・イン・チベットの中でハラーがダライ・ラマ14世に「クンドゥン」と呼びかけていて、知らない言葉だったので検索したらヒットしたのがこの映画でした。

ちなみに「Kundun(クンドゥン)」の言葉の通り、ダライ・ラマ14世を呼ぶ際の敬愛を込めた尊称(英訳ではHis Holliness、 邦訳では御前、法王、法王猊下(げいか)など)です。

f:id:pucayu:20200503162952p:plain

彼もかわいい

内容が内容なだけに、こちらも当然ながら当局の撮影許可は下りず、モロッコで撮影されおり、作品自体の輸入も上映も禁止です。

ポタラ宮などはモロッコに組んだセットで、外観はこんな感じのハイクオリティーのビジュアルエフェクトを駆使して撮影したそうです。参照:VFX HQ: KUNDUN

f:id:pucayu:20200503221423p:plain

このシーンは

f:id:pucayu:20200503221410p:plain

ロッコで撮ったこのシーンに

f:id:pucayu:20200503221403p:plain

ミニチュアを重ねて撮影したそうです

ダライ・ラマ14世自身が直接アドバイスを提供しているとのこと。ダライ・ラマの半生が、美化しすぎず、比較的フラットな目線(といってもダライ・ラマ視点ですが)で描かれているのがいちばん興味を持ったポイントです。

そこでまた昨今の世界の情勢をダライ・ラマ14世はどうみているのかとかも気になり、ウェブサイトやツイッターをみはじめたり、中国がこの映画を撮るとしたら(そんなことは決して起こらないと思いますが)、どんな映画になるのだろうとか、いろいろ気になって大変です。

お題「#おうち時間