エドワード・ゴーリーのにまつわるいろいろがギュギュっとつまったムック本『エドワード・ゴーリーの優雅な秘密』を姉が持ってきてくれました。
エドワード・ゴーリーは、シュールで、ニヒル、ちょっと残酷、けっこう不気味で、ダークでホラーな雰囲気漂う線画と、まったく同じ感じの(シュールで、ニヒル……)短い文章で綴られる、絵本というには毒っ気の多い読み物を描くアメリカ人作家です。
お話の結末にくる結末的なものに、教訓や道徳がないような(あるのかも)ところも彼の本の魅力のひとつ。個人の感想です。
原語版だけでもその本の持つ威力は計り知れないのですが、その世界観(シュールで、ニヒル……)もまるごと翻訳されている、柴田元幸の日本語版も秀逸です。
みんなだいすきゴーリー!なタイプでは決してありませんが、好きな人は、じわじわと、そしてずぶずぶとはまっていく、そんなタイプの絵本たち。
ゴーリー代表作のカテゴリーに、アルファベット・ブックと呼ばれるものがあります。AからZまで順番にいく、日本のあいうえおカルタ的なもの。例えば、上の写真『ギャシュリークラムのちびっ子たち』では、AからZまでのアルファベットの名前のつく子どもたちが登場します。そして、次々と悲惨な目にあっていくだけという絵本。文字だけでみても想像力を掻き立てられますが、絵と一緒に見るとその無言のオーラがすごい。
Kはケイト まさかりぐさり
Lはリーオ がびょうをごくり
そして、そのタイトルからして強烈なインパクトを放つ『華々しき鼻血』。こちらは副詞がAからZまでいきます。この26の副詞を選んだセンスもすごいですし、そこにこの日本語をあててきた柴田元幸もすごいんです。
うかつにも さんばしから おちる
(He fell off the pier Inadvertently)
ねちねちと よくあつてきに こごと
(He spoke to the child Repressively)
このままいくと全絵本語りにそうなので、このあたりでやめておきます。
こちらはムック本ですので、絵本を紹介しているだけではなく、このゴーリーを見つけてきた編集者のインタビュー、そしてそのインタビュアーが日本語版の翻訳者である柴田元幸というのがまたお見事。
そして、このムック本の中でわたしが一番ときめいたのは、ゴーリーが2000年に亡くなるまでネコたちとともに暮らしていた築200年を超えるアメリカ、マサチューセッツ州の東端にとぅるんと突き出た半島、ケープコッドにある「エドワード・ゴーリー・ハウス」のこと。
ゴーリーが生きていたときをほぼそのまま残し、原画をはじめ身の回りのものなどが展示されているそうです。
ゴーリーのお話の中にはネコがよく出てくるのですが、ザ・ゴーリー・ワールドにおいて、唯一不幸の餌食にならないネコたち。ゴーリーはネコが大好きだったそうです。
このムック本の中には、窓がたくさんあって、ここにネコがいたら最高ですねーな妄想膨らむゴーリーハウスの写真もたくさんあり、次に行きたい旅の候補地にランクインです。
お題「#おうち時間」