ひつじ泥棒2

Who stole my sheep?

立って本を読むことにしました

 

お風呂につかって本を読むのと、ベッドの中にしっかり入って本を読むのがわたしの読書のベストポジション。ただ、お風呂に入る時以外はお風呂につかることはなく、寝る時以外にベッドの中にしっかり入ることもないので、多くの場合はソファや椅子に座って、または床に直接座って読んでいます。この姿勢が、いずい。

仙台弁で「なんかしっくりこない」「フィットしない」などの意味なのですが、ほんといずい。いずいのでベスポジを探して何度も姿勢を変えたり座り直すのですが、今度は本を読むペースが乱れる。

正しい姿勢をキープできないのは、根本的に年齢的なことや、日頃の不摂生がたたって、姿勢を保つための筋肉がなくなっているのでしょうか。

いよいよ筋力トレーニング......続く気がしません。どうしたものかと思っていた時に、思いついてしまいました。「立って読んだらいいんじゃない」

5年ほど前からスタンディングデスクを導入する企業が増えたと聞くようになり、今年のコロナの影響で自宅の仕事環境にステンディングデスクを購入したなどと目にする機会もありました。

仕事じゃなくても、読書も家で立ってしたらいいじゃない。大発見!のような気がして得意になりましたが、検索したら「立ち読書」の記事がゴロゴロ出て来ました。みんなやってたのですね。誰もわたしに教えてくれなかった。

 

7月、立ち読み始めました。読んだ本は今のところ3冊。

1冊目は、『女帝 小池百合子』(石井妙子著)

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あの金港堂から暖簾分けし明治43年(1910)オープン、仙台の金港堂

執筆に3年かけただけあり、徹底して調べた感がすごい。ズバズバと切り込む展開か、逆をはって理詰めで淡々と恐怖を味合わせてくれるかと期待して読み始めました。が、意外だったのですが、割とパターン化された書き方かつ粘着質。終始意地の悪さが目立ちましたがそれも著者の狙いなのでしょうか。ちょっともったいない気がしました。当の女帝はそんなことも全く気にしないのか、もしくはいつかどこかで来るかもしれない仕返しのチャンスを虎視眈々と狙って待つのか。おそるべし。

 

2冊目は、『25年後のセックス・アンド・ザ・シティ』(キャンディス・ブシュネル著)

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ジェーン・スーの序文が一番面白かった、なんて言ったら怒られるかしら。タイトルだけを見て「うそ?続編?聞いてない!」と思ったわたしがアホでした。そうだ、ブシュネル(著者)が新作を書いているとかドラマになるとか去年SNSで見たわと、本を読みながら(もちろん立って読んだ)思い出しました。ものすごいテンションで読み始めてしまったので、テイストを踏襲した別の作品と気がつき気持ちが落ちてしまったのはブシュネルのせいではありません。

 

3冊目は、『装丁物語』(和田誠著)

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あの本も、この本も和田誠だったんだ

装丁家ってかっこいい職業名。今は「ブックデザイナー(装丁家)」または「装丁家(ブックデザイナー)」と併記されていることが多いみたい。近い将来併記なしのブックデザイナーになるのでしょうか。装丁にまつわるいろいろがつまった一冊。それぞれのデザインの話はもちろん、文字の話、紙の話など、興味深いはなしがたくさんあります。特に最後の章に書かれたバーコードが登場したことの抵抗。そうか、昔はバーコードはなかったのか。まあ、便利だししょうがないじゃん、と読み始めましたが、読み終わる前にきっちり説得され、さらに彼のサイトでイラストを見ながらその思いに納得しました。和田誠 | わだまこと | Makoto Wada | オフィシャルサイト

 

この3冊が、7月になって立ち読みした本たち。

最初の2冊はキンドル・ペーパーホワイトで、3冊目は文庫本で読みました。結論から言えば、立ち読みにはやはりキンドルの方が読みやすかったです。文庫本も最初は良かったのですが、長時間になってくるとキンドルの方が楽かも。装丁についての本を読みながら「本はやっぱり紙だわ。内容も見た目も手触りも全部全部ひっくるめて本なんだわー」と思いつつ、立ち読みにはキンドルかなと思う矛盾が悩ましいところです。

立って本を読むってどうなのか。いろいろなサイトに書かれていたような集中力が上がる、記憶力アップなどは実感としては特にありませんでした。ただ、座って読んでいた時のいずさはなく、部屋の中をうろうろしたり、立ったまま読むのはなかかよかったです。

最初の2日ほどは、立っていること慣れずいまいちかなと思いましたが、3日もすると本の続きが読みたい以上に、とりあえず立っていたくなる人体の不思議。立つことでなにか気持ちの良い脳内物質が出されるのでしょうか。

半年くらい立ち読みを続けてみようと思っています。とりあえず。