前回のつづき（をちょっと巻き戻したところから）
上海の空港からバスに揺られやってきた隔離施設仕様のホテル。14日間心穏やかに過ごせるよう、想像しうるギリギリ最低ラインでイメトレしていた成果か、天国に近い部屋（シュッシュして、コロコロして、拭きまくりましたが、これは個人の選択）に感じます。
ちなみにテレビはPHILIPS・・と見ていると、おやおや、これは何でしょう？
過去にここで隔離生活を送った方が、フルーツに貼られたシールをつい貼ったんでしょうか。子どもかな。大人かな？なんて思いながら見渡すとこんなところにも。
これは隔離ライフを楽しむためのちょっとしたスタンプラリー的なエンターテインメントでしょうか。他にも隠されていたりして。THE FRUIT IS DELICIOUSの文字を見ていたら少しおなかが空いて来ました。
そうだ、チェックインの時に渡された隔離ごはんを見てみよう。
そっとお弁当の蓋を閉じ、心の扉もそっと閉じました。食について心の狭いわたし。
あれやこれやと大騒ぎをしながら一通り見て気が済んだところで、やっとほっと一息。さてコーヒーをと思ったら、コーヒーの入ったキャリーケースがない！（ここからが前回のつづきです）
コーヒーが入っていた機内持ち込み用のキャリーケースには、14日間の隔離生活（＋７日は自宅隔離）を快適に過ごせるようにと用意してきたお茶、おやつ、スープなどが入っています。さらにはMacBook Airやモニター、外付けHDDも・・。やばい。心臓がバクバクしてきます。
記憶を辿るまでもなく、部屋に持ってきた記憶はない。バスを降りてから消毒液をかけられた記憶もない。そもそもバスに乗せたかしら……。パニック！
ふう、ふう。深呼吸をしてもう一度記憶巻き戻します。成田で機内に持ち込みました。上海の空港でもコロコロして歩きました。入国審査の後、他のスーツケースをピックアップし、カートに一緒に乗せて区の待機場所へ。ここでもありました。
ホテルに移動するためにバスに乗る時、自分でバス下のトランクルームに入れました。ホテルに着いて、バスから降ろし……。きゃー、降ろしてないっ！！
夫に「どうしよう、バスにキャリーケースを置いてきた」と大騒ぎしながら伝えると「フロントに聞いてみな」といたくまっとうな返しが。そうですよね。
フロント何番？どこにかけたらいい？（また大慌て）
（焦っているわりに、電話をきっちり拭いて）フロントに電話をかけました。わたしの大ピンチに限って、英語も日本語も喋れる人がいないと言うじゃないですか。さらにピンチ。
今となってはどうやってコミュニケーションをとったのか怪しいですが、お互いに謎語を駆使し、もうひとり連れてこられた助っ人も参戦。壊滅的な中国語のわたしと辛抱強く意思疎通を図ろうとしてくれるおふたりに感謝。
しばしのやりとりの後、わたしのかすかな中国語をかき集め、ようやく聞き取ったのが「あなたの黒い箱。黒い箱。今人いない。明日黒い箱あなた」
あなたの黒い箱？明日？それはあったの？あったということ？？あったのー？？？あったーーーーーー！！！
わたしの理解が正しければ、わたしの「黒い箱」見つかったようです。なぜ今持ってこれないのか、人がいないとはどういう意味かよくわかりませんでしたが、とりあえずわたしの黒い箱はあった（らしい）ので良しとします。汗だくです。
そして翌朝、防護服のスタッフがわたしの黒い箱、もといキャリーケースを部屋に届けてくれました。ありがとうございます。中国ごがんばりま・・（モニョモニョ・・）。
なんでも夜は汚染地区（入るのに防護服の必要なエリア）に入ることのできるスタッフの数に限りがあって、前日は届けられなかったようでした。ですよね、ここはホテルをお借りしている隔離施設でした。
これでコーヒーが飲めます。ああ、ほんとよかった。わたしの癒しのコーヒーやおかしはもちろんですが、MacBook Airやモニター（最悪こちらは替えがききますが）そして、HDDの中身が手元に戻ってこなかったらと思うと震えます…。ああ、ほんとよかった。
この〈キャリーケース失くした（かも）〉の体験はなかなかトラウマだったようで、その後２回も夢に出てきました。夢ではさらに壮大なスーツケース紛失劇となっていて、目覚めた時にはぐったり。
なんにせよこれで心穏やかに隔離生活スタートです。
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＊2021年11月、12月時点の話です
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