ひつじ泥棒2

Who stole my sheep?

負の遺産への道まっしぐら|上海中欧街

 

上海にヨーロッパがあるそうです。一般的に「中欧街」と呼ばれているそうなのですが、北欧、西欧、東欧じゃなく、いちばんどこのことかピンとこない「中欧」というのがしぶい。

口コミアプリで検索してみたところ「まるでヨーロッパ」とのこと。気になる情報もいろいろ(10分あれば十分、周囲のレストランがマックとすき家、最近ジムがオープン、etc.)あったのですが、百聞は一見にしかずということで、「上海中欧街」に行ってきました。

地下鉄8号線の芦恒(ルーヘン)路駅を出てすぐ、ヨーロッパの街並みがあらわれます。たしかに「まるでヨーロッパ」。建物の1棟、2棟がヨーロッパ風というわけではなく、大きな建造物が10棟ほどが建つ、駅前の大きな小区がまるごとヨーロッパ。

切り取った写真をまとめると、それこそ「まるでヨーロッパ」ですが、そもそも芦恒(ルーヘン)路駅とはどこですかというところからはじまり、ひとつひとつを見てみるといろいろと謎が深まるというか、固定概念が覆されるというか、なんというか・・

こんなに広い

2016年にオープンしたものと思われる

いろいろヨーロッパ風

ミニ遊園地があるのもヨーロッパ風
デリバリーの電気バイクが走ってる

ヨーロッパブランドの看板(店舗はない)

歴史人物の銅像もヨーロッパ風(でも全員中国人)

現代中国の銅像もある(ヨーロッパに造った必要性は不明)

ヨーロッパのエレベーターは動いておらず

ヨーロッパのビル内のテナントはほぼゼロ

ヨーロッパのお堀の外には中華マンションが立ち並ぶ

地下鉄とヨーロッパを結ぶエスカレーターも動いていなかった
(降りるとマックとすき家

中国広告に挟まれるナポレオン(中央ヨーロッパだけど)

「上海中欧街」は2016年開業で、本来は「上海国際ブランドジュエリーセンター」を軸とした、宝飾品関連のお店を中心に、ヨーロッパのハイブランドショップがならぶ上海の中央ヨーロッパ街をアイコンとする都市開発計画だったと想像するのですが、どうやらプラン通りとはならなかったもようです。中欧を選んだ理由もやっぱり不明。

現時点でもいくつかのジュエリーショップや飲食店と、本来の誘致の対象ではなかったであろうジム(オープンキャンペーンをやっていた)や留学センターなど、敷地内の10%は稼働しているようですが、開業から7年ほどが経ち、息をしているだけでマイナスが膨らむ経営状態なのは明らか。

上海市なのか、所在地の閔行(ミンハン)区なのか、民間ディベロッパーなのか、行政と民間の第3セクターなのかその辺りはわかりませんが、投資された巨額の資本の回収はされないまま、負の遺産が膨らみ続けている現状・・この先どうなるのでしょう。

駅前の立地、大きなお金の動いたプロジェクト、巨大複合施設・・からの廃墟へのカウントダウンというと、大阪のフェスティバルゲートを思い出します。上海中欧街、ここから復活の活路を見出すのか、もしくはフェスティバルゲートのように長年放置したあとの再開発を待ち続けるのか。

その場しのぎの応急処置ではありますが、我らがジャパン、港区汐留のイタリア街を参考に、素敵かつ本気ヨーロッパのレストランを数店誘致して、ワンホン(網紅/中国のインターネットインフルエンサー)たちに案件ランチや案件ディナーや案件飲みでもしていただいたらいいのではないでしょうか。今イタリア街がどんな感じなのかは知らないので無責任で申し訳ないけど、ジュエリーセンターは無理なのは素人でもわかる。

正面玄関には、EU旗を中心にEU加盟国の国旗が一列に並んではためいておりましたが、上海にある廃墟へのカウントダウンのはじまっているヨーロッパの存在を、EUのみなさんはどう思っているのでしょう。ま、なんとも思っていないと思いますが。