マレーシア半島南部にある、世界遺産の街マラッカにやって来た。マレー鉄道でマラッカと言えば、マラッカ海峡の夕陽。（マラッカの最寄りの鉄道駅は遠いらしく、クアラルンプールでバスに乗り換えたけど）
しかし、多少遠まわりになるかもしれないと知りつつこのマラッカに立ち寄ってみるつもりになったのは、なにもポルトガル人の築いた砦やフランシスコ・ザビエルの像が見たかったからではない。私はただ夕陽が見たかっただけなのだ。マラッカ海峡に沈む夕陽はとてつもなく大きく赤い、と聞いたことがあった。
沢木耕太郎の『深夜特急』ももちろん何度も読んだけれど、ドラマ版も好き。映像ってやっぱりいいものだ。
今やすっかりムキムキがすごい筋肉俳優ですが、『深夜特急』の大沢たかおは、今はダメ男だけどそのうち良くなるに違いないハンサム感をムンムンに漂わせている役を演じていた。大人なのにまだまだ子どもでちょっと残念な彼を日本で待つ（そしてピンチになればお金も貸してあげる）彼女役の松嶋菜々子もまたよろしい。
小説のヒリッとした世界観や、映像で見る乾いた埃っぽさやムッとした湿度の高さまでありありと伝わって来るドラマの世界観にすっかり感化され、荷造りして旅に出た人たち、世代を問わず結構いるのではないか思われます。
そんなわたしも多かれ少なかれ影響を受けて大人になったので、ポルトガル に行った時に最果ての岬、ロカ岬に立って大西洋に沈む夕陽を眺めなかったことに多少なりとも後悔しているので、今回は行ってきました。マラッカ海峡の赤い夕陽を見に。
地元の人が釣りをしていた
たくさんの観光客が押し寄せるスポットではないものの、マラッカ海峡に沈む夕陽を見に集まる人がぽつぽついた。日本の人も数人いて、心の中で深夜特急フレンズ認定。
クアラルンプールで一緒に迷ったマレーシア人の彼女に深夜特急のくだりを話したら「マラッカ海峡の夕陽のことなんて聞いたことない、何回もマラッカ行ってるのにー」と言われたけれど。
待機中の貨物船、
何が釣れるんだろう
あとはもう静かに見とこ
SNSやブログで見た真っ赤な写真は撮れなかったけれど、夕陽を眺めながらしみじみしてきました。感慨深いわあ。
このあたりは海に浮かぶ美しいモスクがある以外、廃墟街になっていて日が暮れると（暮れる前も）ちょっとこわい。街中からは配車アプリで呼んだ車ですぐだけれど、地元の人からしたら釣り人でもムスリムでもない日本人がなぜここに来るんだろうと思うのだろうか。
最後に、沢木耕太郎は見たかったわけではないと書いていたけど、わたしは見に行った。
ポルトガル人の築いた砦とフランシスコ・ザビエルの像
