ひつじ泥棒2

Who stole my sheep?

旧フランス租界のノスタルジックな上海弄堂(ロンタン)

 

弄(ロン)は路(ルー)より小さい単位の通りのことで、路地のような道。そしてその路地に並ぶ2、3階建てのメゾネット形式の住宅を弄堂(ロンタン)と呼び、上海界隈特有の居住形式なのだそう。1845年からの上海の旧租界(外国人居留地)内の中国人向けに建てられた弄堂が今も上海の街中に残っている。

超高層ビルやリノベーションされた素敵上海はもちろん、100歳越えの建物も多く、現役のアパート群ではあるものの、いつ再開発の対象となり消えていくかもしれないノスタルジックな弄堂。

まずは旧フランス租界の1930年に建設された、上海らしい木造れんが建築の歩高里(ブーガオリー)。簡体字のブーは「步」、日本語の漢字は「歩」。間違い探しみたい。

青の点線の区画が歩高里

陜西南路(シャンシーナンルー)の入り口

メインの通りは庇付き(空飛ぶセーターは上海干し)

建物のつなぎのディテールも凝っている

上海の外干し文化はどこまで続くのかな(猫がいるよ)

キリリ

他にも見学者がいた

黒板アート、住民の方が描いたのかな

建国西路(ジエングオシールー)側の入り口

次に上海に来るまであるかな、という刹那的な美しさがよけいにキュンとくるー。

今度は麺、ミシュラン上海のビブグルマン常連店

 

気温が上がりコートもいらない春の1日、租界時代の高級住宅地が並ぶ思南路(スーナンルー)をふらっと歩いてきた。春の訪れとともに憎々しいコレも訪れている。

プラタナスの種子(写真見てもくしゃみ出そう)

7年前、上海ってスギ花粉ないらしいじゃないと得意げになっていた自分を呪いたい。スギ花粉はなくともプラタナスが猛威を振るう上海。ピークはもうしばらく先。おそるべし。

歩道に溜まったプラタナスの種子を睨みつけながら歩いていたら、有名麺屋さんを通り過ぎてしまった。そのお店は阿娘麺館(アーニャン麺館)。ガイドブックにも載っている蘇州麺の有名店。ミシュラン上海のビブグルマン常連店のひとつである。

お店の前の狭い歩道は、普段は地元の人や観光客で賑わっているのに今日は人が全然いなくて通りすぎてしまったようだ。どうしたんだろうとお店の前に戻ってみたら、開店したばかり(11時)でまだ数人の客しかはいっていなかった。

もしかしてラッキー。食べていきなさいとのお誘いに違いない。

入口すぐのカウンターで支払い、空いている席に

座り放題

お店のいちばん人気は黄魚(イシモチ)麺

左がキッチン、右側が洗い場につながっている

ミシュラン様がずらり

わたしは蟹粉麺を(これが最後の蟹麺かも)

グルグルに混ぜて、黒酢もかけちゃう

食べ始める頃にはあっという間に店内の席が埋まり、食べている人の後ろに人が並びはじめた。4人席でひとりで食べていたわたしの向かいも隣もちろん相席。

支払いをした順番ではなく、食べている人のお碗を覗き食べ終わりそうな人にあたりをつけて後ろに立つというのがここのスタイル。日本の町のラーメン屋のように食べ終わったらさっさと出ていくのが暗黙のルールである。

今日も大変美味しくいただきました。

上海人がすすめする帰国前に食べてほしい中国料理3つ

 

今日は引越し荷物の搬出日。 お昼前には全ての荷物(家具付きのアパートメントなので、最低限のものはある)が運び出されてしまった。不要品なども引越し業者に引き取ってもらい今はガラーンとした部屋。・・のだけれど、わたしの部屋にひいていた日焼けしてすっかり色の変わったラグ、あまりに馴染みすぎていたからか引き渡し忘れてしまった。

ブラジルにいた時から使っていたラグもここでさよなら

中国ライフも月末までのあとわずかとなった。個人的には食べ残した中華料理はないのだけれど、もうすぐ帰国する外国人に中国人は何を食べてもらいたいのかが気になったので、ランゲージエクスチェンジの上海人に聞いてみた。

日本に帰る前に食べておいた方がいい本場中国の味トップ3。

via 噜噜梵@小红书

第3位 ”中国の”火鍋

火鍋は日本でも食べることができるけれど、中国の火鍋と日本の火鍋はどちらもお美味しいけれどやっぱり違う料理だと思う、と言う彼女。

日本で働いていた時に中国人経営の火鍋屋はもちろん、東京で美味しいと評判の火鍋をあちこち食べ歩いたけれどやっぱり何かが違うらしい。わかる気はする。なぜならわたしは日本で食べる火鍋は好きだけれど、中国の火鍋はさほどでもない。きっとそういうことだろう。

 

via 🧀谁吃了我的奶酪@小红书

第2位 タニシ麺(螺蛳粉|ルオスーフェン

太めのトゥルンとしたビーフン、具は発酵したタケノコの漬物、揚げ出し湯葉、青菜、ピーナツなど、それらをタニシで出汁をとったスープで食べる麺料理。この2、3年で一気に全国区になった広西チワン族自治区の郷土料理。

すごく美味しいらしい。美味しけれど、すごく臭い。この料理の特徴と言えばその「臭さ」だ。中国人にとっても臭いことは臭いらしい。臭いけれどうまい。・・みたいな。

彼女が家でルオスーフェンを食べると、母親が臭いからほんとにやめてくれと言うそうだ。好きな人は大好きな味なのだろう。彼女は大好きなので、美味しいルオスーフェンのお店リストを送ってきた。

 

via 网上厨房

第1位 13のスパイスで食べるザリガニ(十三香小龙虾|シューサンシャン・シャオロンシャー)

シーズンはもうちょっと先だけれどみんな大好きザリガニ料理。ザリガニカレーや麻辣ザリガニなどいろいろなメニューがあるが、彼女がおすすめするのは十三香小龙虾。

十三香は直訳すると13のスパイスだけれど、実際には山椒、唐辛子、ネギや生姜をはじめとした、すごくたくさんのスパイスが入っているそう。二人で行くと言ったら「ふたりだったら1キロは絶対に頼んでね」と言われた。1キロ!

以上が彼女のおすすめする中国にいる間に食べておいてほしい中華料理。それにしてもクセ強めものばかり揃えてきた。「焼き小籠包とかの美味しいお店とかでいいんだけど・・」と小さい声でつぶやいたら「ああ?」と言われた。

 

昔ながらの製法でつくる、オールド上海の焼き小籠包

 

焼き小籠包、もとい、生煎(シェンジエン)、ふたたび。

焼き小籠包なら東泰祥が好きという人は結構多く、SNSで見る上海の一番美味しい焼き小籠包TOP10などには必ず選ばれる、焼き小籠包や麺などのお店「東泰祥(ドンタイシャン)」。

上海人のオーナー、ゾンさんが「昔ながらの上海の味」にこだわって、1920年代にあった廃業していたお店を復活させたのだそう。

上海市非物質文化遺産にも選ばれている(非物質分野とは?

今回行ったのは東泰祥の長寧路店

東泰祥も市内に数店舗ある。前に一度行ったことがあるのは中心部の新天地(シンティエンディ)のお店、こっちの方が入り口ゴージャス。今回は長寧路(チャンニンルー)店に行ってきた。

写真の黄色の人はデリバリーの人。焼き小籠包は絶対にお店で食べた方が美味しいもののひとつと信じてる。とか言いつつデリバリーもするけど。

先に書いた「昔ながらの〜」というのは、皮を半醗酵させて作る手法のこと。今どきの多くの焼き小籠包屋さんは、醗酵の工程をスキップした薄い硬めの皮でスープがたっぷり入り、かじるとプシャっというの売りなのだが、東泰祥では肉まんの皮を薄くしたタイプの皮で、半醗酵のふわっと感がいい感じ。飛び散るほどのスープではないけれど、程よい量のスープがこれまた良し。

通りから見えるところで焼くスタイルが上海風

後ろではノンストップで餡とスープを包んでいる

f:id:pucayu:20240319234906j:imageローカルでキレイなお店

入り口でお金を払う。メニュー版がギラギラ!

青ネギとゴマがいい仕事をしてる

大変美味しくいただきました。わたし的ナンバー2。

後もう一軒、いや二軒もう一度食べたい焼き小籠包のお店があるのだけど・・行けるかな。

 

シナモンロールが溢れている上海

 

上海に来た2018年から一気に増えたもののもうひとつ、それはシナモンロール

via: KKKail@小红书

シナモンロールを置いていないカフェやベーカリーはそれだけで機会損失と言うのも大袈裟ではない上海。集客とSNSが切り離せない現代の上海において、SNSで紹介して欲しいのならば、見栄えのいい、そして美味しいシナモンロールは必須アイテムのひとつになっている。

カフェシーンのアップグレードとタイミングを同じくして、上海のシナモンロールシーンも一気に変化した。2018年に上海に来たばかりのころは完全にシナモンロール難民で、シナモンロールが食べたくて食べたくて、でも中国のSNSが使いこなせず英語情報に頼って検索をしていた頃に見つけたお店が当時唯一のシナモンロール専門店、CinnaSwirl。アメリカ人の夫婦が2013年にオープンしたシナモンロール屋さんは、いかにもアメリカンなシナモンロールでほんっと美味しい。

当時上海に住んでいたアメリカ人が一時帰国から上海に戻る時に空港のシナボンシナモンロールのチェーン店)で最後のシナモンロールを食べる話や、中国にシナモンロールをダースで持ち込む話とか、シナモンロールネタが在中アメリカ人の間で繰り広げられていた。

懐かしくてデリバリーしたCinnaSwirl(ちなみにこれでライトフロスティング

www.instagram.com

今はいたるところに美味しいシナモンロールがあふれていて、カフェストリートを歩けば両手いっぱいのシナモンロールが買えるようになった上海。あのブログを書いた子たちが今も上海にいたら語り合いたい。

Dosageのシナモンロールとシナモンケーキも好き

延平路に移転したSLOPPY GIN

売り切れていた・・

最近好きなのはちょっと前に移転したSLOPPY GINのクセ強めのシナモンロール。でもこの日は行くのが遅くて売り切れていた。(この丸いドーナツも絶品)

CinnaSwirl一択だったあの頃よ・・と思う。

上海カフェシーンの興隆と衰微(と、わたしのコーヒー豆)

 

上海に来た2018年の春は、上海のカフェブームに向かってフルに加速しはじめたころで、新規のカフェがどんどんオープンしているところだった。

アクセルベタ踏み状態の中国らしく、玉石混淆、良いものも悪いものも一緒くたに、ものすごい勢いでカフェ展開をしていった。そして、いつの間にか上海は世界で一番カフェの多い街になっていた。中国の猪突猛進的な推進力ってほんと恐るべし。

外飲みコーヒー圏の拡大から半歩ほど遅れたものの、家飲みコーヒー文化もずいぶんと身近なものになり、欲しいコーヒー豆がいつでも手に入るようになった。

・・のだけれども・・。次にやってきたのは豆の値段の高騰。上海に限ったことではないだろうけれど、良い豆は恐ろしく高い。コーヒー豆もワインや日本酒のようになってしまう日が来てしまった。せつない。

これぞという豆はもはやお誕生日用か特別の日のごちそう、あとは外で飲む用とし、日常には日常レベルの豆を飲むことにした。

わたしが日常使いのコーヒー豆に求めているのってなんだろうと考えてみた。納得の値頃感というのは絶対なのだけれど、いつも豆を買うお店の共通点は次の6点だった。

1)店舗がある(やっぱりこの目で確かめたい)、2)デリバリー対応可、3)500g前後単位の値段設定がある、4)味が好み、5)中浅焙煎アリ、6)店で焙煎(市内なら別店舗もOK)

わたしのポイントを押さえているのがこの3店。

Kamogawa(广元路店)、HEFA Coffee(番禺路店)、That Cafe(幸福里店)

Kamogawaの「鴨川零号」という名前のコロンビアとグアテマラブレンドが一番多く買っているの豆で、HEFA Coffeeのエチオピア雲南ブレンドと、That Cafeのエチオピアは同じぐらいの頻度、1−2−1−3−1−2−1−3・・・な感じで買っている。

上海のカフェブームはどこまで続くのだろうと思っていたけれど、もうとっくに折り返しを過ぎているそうだ。今はオープンさせても3ヶ月で撤退せざるを得ないくらい厳しいみたい。まあなあ、生き急いでいるかのようなカフェブームだったもんなあと思う。

これからの数年を生き延びたお店が、5年後10年後の上海カフェの心の拠り所となるのかな。