ひつじ泥棒2

Who stole my sheep?

上海のラストさんぽは、シュールでミステリアスな迷路のような路地

 

今までも何度かブログに登場した愚园路(ユーユエンルー)。静安寺(ジンアンスー)から中山公園(ジョンシャンゴンユエン)までのおよそ2キロほどの1本道。中間らへんの1部区間は立ち退きが進んでいるみたいなので再開発が始まるのかな。中山公園側は上海のメジャーカフェストリートのひとつ。

租界ではないけれど、租界の外側に勝手に広がっていった租界のようなエリアで、通り沿いに1900年から1950年に建てられたお屋敷や建造物が並ぶ愚园路は、上海市に12ある歴史文化風貌保護区のひとつ。

その中の、と言うか上海の中でも最もミステリアスな裏通り(弄|ロン)とそこに集まる住宅たち(弄堂ロンタン)が、わたしの最後の上海さんぽ。「愚园路749」を歩いた。

愚园路から東諸安浜路(ドンジューアンバンルー)までの一本道が愚园路749弄のメインの通り(路地の中の大通り)。ふつうは路地(弄)は路地に沿って家やアパートが並ぶ作りなのだけれど、ここは「弄堂ー側弄堂ー小側弄堂ー秘密通路ー弄堂」という、まるで迷路のような構造になっている。

租界時代や上海解放後の政界の表の権力者や裏の権力者、そして時代を暗躍したスパイたちが住んでいたり、スパイの待ち合わせ場所があったりと、ミステリー小説の舞台が現実にあった場所なのだ。すごいー。

愚园路から見る749弄の大門(車が止まっているところ)

門番や門番のお友達が座る

東諸安浜路側の門

通りの反対側には日本人や外国人が多く住むサービスアパートメントや、老舗のイタリアンレストランがあるところ。

上の地図の右下の★がここ

門の中はこんな感じ、右側には10畳ほどのお花畑

18戸が入っている

地図下の右の★から左の★を見るとこんな感じ

左手は煉瓦造りの4階建てのタウンハウス

通りの先の右手はまた違った雰囲気のアパートメント

こんな路地だけど壁にはEV車のチャージャー

地図左下★の向かい側。怪しげな門を入ると

花壇を囲むようにアパートが建っていた

ねこさんもちょいちょい

31号は(ちなみに数字はきちんと並んでいるわけではない)

青いドアが可愛いアパートだった

63号は当局特務委員会の上層部メンバーで、毒殺された政治家の旧邸

29号はキリスト教指導者で蒋介石宋美齢の許婚者、余日章の旧邸(パネルは画像翻訳

近代的な豪華な門があったので入ってみる

健康広場だった(中国もこういう広場がけっこうある

ねこさんについて行ってみる

28号のついで感が・・

その28号

100歳前後のアパートたち、いつまでもつかな

レトロでかわいい

3月末だったのと曇り空だったのでこんな感じだけれど、もう少しすると蔦が生い茂っていて迫力のある路地になるはず。

写真はほんとうに一部で、塀の中に小さな塀がいっぱいあって、もっとたくさんのもっと謎めいた建物があって、しかもその建物たちが100歳前後で現役だったりする・・。しかも、住所はみんな「愚园路749」。

デリバリーの電動バイクが目的の玄関を探して右往左往しているところを、ねこさんやいぬさんが眺めている様子がシュールだった。

この日の朝に上海のアパートの退去チェックが終わって(退去チェック後も1泊させてもらった)からの、ほんとにラストさんぽ。

そして翌朝の便で東京に戻りましたとさ。

そろそろ1週間が過ぎるところ。

まあ、ぼちぼち

 

上海の壁に囲まれた小さな町|上海弄堂(ロンタン)

上海特有の古い時代の居住形式の弄堂(ロンタン)。都心の駅近エリアにもドンとある。そんな中心部の弄堂2つ。よく寄り道する弄堂だけれどあらためて写真を撮ったのは初めて。

ひとつ目は「淮海坊(ファイハイファン)」。地図を見るとグッチやブルガリの文字が見えるように、iapmという高級ショッピングモールのすぐそば。

7年、iapmに初めて来た時に周辺をちょっと歩いてみようと迷い込んだ弄堂。Apple Storeプラダだなんだと言っているすぐそばに、こんなタイムリープしたような場所があるなんてと、上海の魔都っぷりにときめいた思い出。

フランス租界時代の目抜通りAvenue Joffre(現・淮海中路)と、Route Mercier(現・茂名南路)の交差点、キャセイシアターがあるところ。地図の上に見える緑のエリアは、日系のオークラガーデンホテル上海のお庭。

右がキャセイシアター、左奥がオークラガーデンホテル

1924年に建てられたこの弄堂(ロンタン)は、中華民国時代の著名人(巴金、徐悲鴻、胡蝶など)が住んでいたところで、家の前にはプレートがある。

交差点のユニクロやGUの隣のセオリー(日本のお店ばっかり)の隣にある、北門から入ってみた。

ここに入っていいの?みたいな門煙突のある赤煉瓦がチャームポイント

中国中どこにでも掲げられているスローガン

住んでみたいなあ

補修工事してる

南門(南昌路X茂名南路)

中国共産党のスローガン(社会主義核心価値観)、こっちにいる間に中国読みで覚えて帰ろうと思ったけど、まったく覚えられなかった。去年ロンドンで赤い文字でこのスローガンが書かれたニュースを見た記憶があるのだけれど・・。あれはどうなったんだろう。

 

もうひとつの都心の駅近弄堂(ロンタン)は、「静安别墅(ジンアン・ビエシュー)」。歩行者天国になっている茂名北路を挟んだ張園(ジャンユエン)は1882年に建てられた上海の代表的な歴史建造物が並ぶエリア。こちらはコロナで長引いた再開発工事がようやく終わり、2022年に上海の新しい顔として生まれ変わった。

ヴィトンやディオールをはじめとしたハイエンドブランドが並ぶ張園の道路を一本挟んだすぐ側、そんな華やかな変化が起こったことなどまるで気がつかないかのような静安别墅がある。

南門からスタート

まっすぐに行くと2024年6月閉店の百貨店

さよなら伊勢丹(1回しか行ったことないけど)

南北を結ぶ通りの両脇に3階建てのアパートが並ぶ、900戸あるみたい

ちょっと前まではお店も多かったようだけれど今は住宅メインなのだそう

オウムとマオ

お花だらけのお家もあれば

浅草の路地のおうちみたい

静安别墅の書体がかわいい北門でゴール

上海の、壁に囲まれた小さな町(小区と呼ばれる住宅地)って独特だなあと思う。門に慣れていない日本人としては閉まっている門を開けて勝手に入るのにちょっと抵抗がある。もう慣れたけど。

旧フランス租界のノスタルジックな上海弄堂(ロンタン)

 

弄(ロン)は路(ルー)より小さい単位の通りのことで、路地のような道。そしてその路地に並ぶ2、3階建てのメゾネット形式の住宅を弄堂(ロンタン)と呼び、上海界隈特有の居住形式なのだそう。1845年からの上海の旧租界(外国人居留地)内の中国人向けに建てられた弄堂が今も上海の街中に残っている。

超高層ビルやリノベーションされた素敵上海はもちろん、100歳越えの建物も多く、現役のアパート群ではあるものの、いつ再開発の対象となり消えていくかもしれないノスタルジックな弄堂。

まずは旧フランス租界の1930年に建設された、上海らしい木造れんが建築の歩高里(ブーガオリー)。簡体字のブーは「步」、日本語の漢字は「歩」。間違い探しみたい。

青の点線の区画が歩高里

陜西南路(シャンシーナンルー)の入り口

メインの通りは庇付き(空飛ぶセーターは上海干し)

建物のつなぎのディテールも凝っている

上海の外干し文化はどこまで続くのかな(猫がいるよ)

キリリ

他にも見学者がいた

黒板アート、住民の方が描いたのかな

建国西路(ジエングオシールー)側の入り口

次に上海に来るまであるかな、という刹那的な美しさがよけいにキュンとくるー。

今度は麺、ミシュラン上海のビブグルマン常連店

 

気温が上がりコートもいらない春の1日、租界時代の高級住宅地が並ぶ思南路(スーナンルー)をふらっと歩いてきた。春の訪れとともに憎々しいコレも訪れている。

プラタナスの種子(写真見てもくしゃみ出そう)

7年前、上海ってスギ花粉ないらしいじゃないと得意げになっていた自分を呪いたい。スギ花粉はなくともプラタナスが猛威を振るう上海。ピークはもうしばらく先。おそるべし。

歩道に溜まったプラタナスの種子を睨みつけながら歩いていたら、有名麺屋さんを通り過ぎてしまった。そのお店は阿娘麺館(アーニャン麺館)。ガイドブックにも載っている蘇州麺の有名店。ミシュラン上海のビブグルマン常連店のひとつである。

お店の前の狭い歩道は、普段は地元の人や観光客で賑わっているのに今日は人が全然いなくて通りすぎてしまったようだ。どうしたんだろうとお店の前に戻ってみたら、開店したばかり(11時)でまだ数人の客しかはいっていなかった。

もしかしてラッキー。食べていきなさいとのお誘いに違いない。

入口すぐのカウンターで支払い、空いている席に

座り放題

お店のいちばん人気は黄魚(イシモチ)麺

左がキッチン、右側が洗い場につながっている

ミシュラン様がずらり

わたしは蟹粉麺を(これが最後の蟹麺かも)

グルグルに混ぜて、黒酢もかけちゃう

食べ始める頃にはあっという間に店内の席が埋まり、食べている人の後ろに人が並びはじめた。4人席でひとりで食べていたわたしの向かいも隣もちろん相席。

支払いをした順番ではなく、食べている人のお碗を覗き食べ終わりそうな人にあたりをつけて後ろに立つというのがここのスタイル。日本の町のラーメン屋のように食べ終わったらさっさと出ていくのが暗黙のルールである。

今日も大変美味しくいただきました。

上海人がすすめする帰国前に食べてほしい中国料理3つ

 

今日は引越し荷物の搬出日。 お昼前には全ての荷物(家具付きのアパートメントなので、最低限のものはある)が運び出されてしまった。不要品なども引越し業者に引き取ってもらい今はガラーンとした部屋。・・のだけれど、わたしの部屋にひいていた日焼けしてすっかり色の変わったラグ、あまりに馴染みすぎていたからか引き渡し忘れてしまった。

ブラジルにいた時から使っていたラグもここでさよなら

中国ライフも月末までのあとわずかとなった。個人的には食べ残した中華料理はないのだけれど、もうすぐ帰国する外国人に中国人は何を食べてもらいたいのかが気になったので、ランゲージエクスチェンジの上海人に聞いてみた。

日本に帰る前に食べておいた方がいい本場中国の味トップ3。

via 噜噜梵@小红书

第3位 ”中国の”火鍋

火鍋は日本でも食べることができるけれど、中国の火鍋と日本の火鍋はどちらもお美味しいけれどやっぱり違う料理だと思う、と言う彼女。

日本で働いていた時に中国人経営の火鍋屋はもちろん、東京で美味しいと評判の火鍋をあちこち食べ歩いたけれどやっぱり何かが違うらしい。わかる気はする。なぜならわたしは日本で食べる火鍋は好きだけれど、中国の火鍋はさほどでもない。きっとそういうことだろう。

 

via 🧀谁吃了我的奶酪@小红书

第2位 タニシ麺(螺蛳粉|ルオスーフェン

太めのトゥルンとしたビーフン、具は発酵したタケノコの漬物、揚げ出し湯葉、青菜、ピーナツなど、それらをタニシで出汁をとったスープで食べる麺料理。この2、3年で一気に全国区になった広西チワン族自治区の郷土料理。

すごく美味しいらしい。美味しけれど、すごく臭い。この料理の特徴と言えばその「臭さ」だ。中国人にとっても臭いことは臭いらしい。臭いけれどうまい。・・みたいな。

彼女が家でルオスーフェンを食べると、母親が臭いからほんとにやめてくれと言うそうだ。好きな人は大好きな味なのだろう。彼女は大好きなので、美味しいルオスーフェンのお店リストを送ってきた。

 

via 网上厨房

第1位 13のスパイスで食べるザリガニ(十三香小龙虾|シューサンシャン・シャオロンシャー)

シーズンはもうちょっと先だけれどみんな大好きザリガニ料理。ザリガニカレーや麻辣ザリガニなどいろいろなメニューがあるが、彼女がおすすめするのは十三香小龙虾。

十三香は直訳すると13のスパイスだけれど、実際には山椒、唐辛子、ネギや生姜をはじめとした、すごくたくさんのスパイスが入っているそう。二人で行くと言ったら「ふたりだったら1キロは絶対に頼んでね」と言われた。1キロ!

以上が彼女のおすすめする中国にいる間に食べておいてほしい中華料理。それにしてもクセ強めものばかり揃えてきた。「焼き小籠包とかの美味しいお店とかでいいんだけど・・」と小さい声でつぶやいたら「ああ?」と言われた。

 

昔ながらの製法でつくる、オールド上海の焼き小籠包

 

焼き小籠包、もとい、生煎(シェンジエン)、ふたたび。

焼き小籠包なら東泰祥が好きという人は結構多く、SNSで見る上海の一番美味しい焼き小籠包TOP10などには必ず選ばれる、焼き小籠包や麺などのお店「東泰祥(ドンタイシャン)」。

上海人のオーナー、ゾンさんが「昔ながらの上海の味」にこだわって、1920年代にあった廃業していたお店を復活させたのだそう。

上海市非物質文化遺産にも選ばれている(非物質分野とは?

今回行ったのは東泰祥の長寧路店

東泰祥も市内に数店舗ある。前に一度行ったことがあるのは中心部の新天地(シンティエンディ)のお店、こっちの方が入り口ゴージャス。今回は長寧路(チャンニンルー)店に行ってきた。

写真の黄色の人はデリバリーの人。焼き小籠包は絶対にお店で食べた方が美味しいもののひとつと信じてる。とか言いつつデリバリーもするけど。

先に書いた「昔ながらの〜」というのは、皮を半醗酵させて作る手法のこと。今どきの多くの焼き小籠包屋さんは、醗酵の工程をスキップした薄い硬めの皮でスープがたっぷり入り、かじるとプシャっというの売りなのだが、東泰祥では肉まんの皮を薄くしたタイプの皮で、半醗酵のふわっと感がいい感じ。飛び散るほどのスープではないけれど、程よい量のスープがこれまた良し。

通りから見えるところで焼くスタイルが上海風

後ろではノンストップで餡とスープを包んでいる

f:id:pucayu:20240319234906j:imageローカルでキレイなお店

入り口でお金を払う。メニュー版がギラギラ!

青ネギとゴマがいい仕事をしてる

大変美味しくいただきました。わたし的ナンバー2。

後もう一軒、いや二軒もう一度食べたい焼き小籠包のお店があるのだけど・・行けるかな。