「今なら無料お試し2ヶ月2コインいかがですか?」と、Audible(オーディブル)のお誘いメールが来たので、せっかくなので誘われてみました。いつもお試し期間中に解約しているのですが、しばらくするとまた誘ってくれるのでつい甘えています。
わたしにとってオーディブルの最大のメリットは、<挫折した本・挫折しそうな本を、いい声の誰かに読んでもらう>こと。
今回選んだ本は、発売した瞬間から大ベストセラー、そしてコロナ禍で世界の行く末を不安視する人ニーズが掘り起こされたのと、ハラリ氏の新刊が発売されせっせとプロモーションをされていたこともあり、昨年再び話題になったイスラエルの歴史学者ユヴァル・ノア・ハラリの『サピエンス全史ー文明の構造と人類の幸福』です。
なぜこの本かと言いますと、発売された頃、どこの本屋でも高く積まれていたサピエンス全史の隣に『銃・病原菌・鉄ー1万3000年にわたる人類史の謎』という本(ハラリが影響を受けたというユダヤ系アメリカ人のジャレド・ダイアモンドの本)も積まれていました。そんなことが書かれた本屋さんのポップに興味を持ち、サピエンス全史ではなく銃・病原菌・鉄をポチッとしてしたんです。(本屋で実際の本を見て、Kindleで買う)
この本、内容はおもしろかったのですが、読むのがうんざりするほど大変で、朦朧としてゴールに倒れこむ100キロマラソンランナーのような感じで、最後の方はとりあえず読んだだけ。そんなトラウマからサピエンス全史を読めないまま数年が経ってしまいました。
そんなところに今回のオーディブルの無料体験、しかも2コイン付きです(1冊1コイン)。この機会を逃したらまた数年経ってしまうかも、そんなわけで今さらではありますが、サピエンス全史をいい声で読んでもらいました。
いい声に読んでもらうって、ステキ。プロ野球のドラフト会議の声の感じにちょっと似た雰囲気の声でした。穏やかで、深入りコーヒーのような声、本の文体(皮肉っぽいところや、ブラックなことをふんわり話すところなど)にぴったりハマってとても聴きやすい。
下巻に、壮大な皮肉を畳み掛ける聴かせどころがいくつかあるのですが、もし自分で読んでいたら、その押し付けがましさや不快感で本を閉じてしまいそうなところを、ギリギリのいい塩梅で読んでくれたその力量はお見事でした。
絵本の読み聞かせのように1冊1回で聴かせるタイプの本とはまた違って、20時間を超える本を読んで聴かせるのは全く別のテクニックが必要そうです。一気に聞き通す方はいないと思うので、本の途中、どこから聞き始めても違和感なく聞き始められるトーンで話す、この技術はなかなかのものだと思います。
気になって(すぐ気になる)、英語版のオーディブルも試聴してみました。日本語版のストーリーテリング風な話し方に比べると、こちらはドキュメンタリーのナレーション味が強め。ナショナルジオグラフィックっぽい感じです。個人の感想ですが。
ついでにスペイン語版も、おまけにフランス語版も聞いてみました。ラテン系の言語のイントネーションの高低差(とくに高の部分)にちょっと吹き出しそうになるも、少し聞くと慣れ、やはりナショナルジオグラフィック系統かなと思いました。
どの言語も30日無料をやっていたのですが、全部をダウンロードしてフルで聴く!……さすがにそこまではなので、試聴で満足です。
なんにしましても、挫折しそうな本を、いい声の人に読んでもらうというのは大変ありがたいことです。
どうでもいいような話。今回は無料お試しで、2コイン=2冊分にのっかったわけですが、オーディブルのアプリを再アップロードし、プレゼントのコインで本を購入しさっそく聴き始めると、「第12章 宗教という〜」と始まったのです。
何?と思って本のタイトルをよく見てみると「サピエンス全史 下」 。まさかの下巻をタップしていました。もう1枚の無料コインが付与されるのは月末……。
もう読む耳になっていたので上巻は自腹で買いました。なんか悔しい……