春の揚州(ようしゅう/ヤンジョウ)週末トリップのつづき。
泊まったところは、世界遺産「中国大運河」の構成資産のひとつ「痩西湖」(そうせいこ/ショウシーフー)の南湖畔の広大な敷地に建つ「揚州迎賓館」。世界遺産に登録されたのと同時に開業したみたい。
広々とした敷地には、下の写真のようないかにも中国的な大きな建物が10数棟あり、部屋数は300室以上、16のテーマのちがうレストラン、温泉棟、巨大なカンファレンスホールもあって、G7 などの国際会議も楽々招致できそう。中国はG7にはいってないけど。
写真は朝食会場のレストラン。ゲストを迎える優雅な黒鳥と咲き始めたサクラを眺めながらいただく朝の中華粥は最高。
2日目、朝食後の予定は痩西湖の北西の山に建つ世界遺産の構成資産のひとつ「大明寺」(だいめいじ/ダーミンスー)からスタートして、痩西湖を歩きながらホテルへ戻ってきます。
賑やかな山道を登っていると、行く手に立ちはだかるお線香売りレディース。
大明寺は、753年に奈良にやってきた鑑真和尚が742年から中国を離れるまで住職として在籍していたお寺。以前仕事で奈良時代の仏像や仏閣についてリサーチをしたときに、鑑真についての文献もけっこう読んだので、勝手に親しみを込め、あの鑑真が!と思いながら散策。
上の写真の左上は、鑑真が晩年を過ごした奈良の世界遺産「唐招提寺」の金堂(メインホール)を模して建設したんですって。灯篭は対になっていて、もうひとつは唐招提寺にあるそうです。中には国宝の鑑真坐像のレプリカもありました。
左中は正門。記念写真を撮っているのは上海の銀行の行員旅行みたい。団体旅行も3年ぶりだろうな。左下は手水場みたいなんだけど、真ん中の筒状の上から円盤のように水が回る不思議な造りでした。
春の暖かい日・・・ではなく、この日はまあまあ太陽が出ていたもののものっすごく寒かった。サムっと何度も言いながら山道を降る。山を降りる人にはまったく興味のない線香売りレディース、こちらをちらりと見ることもなく次のピークまでの休憩中。
歩いて痩西湖へ。「痩せてる西湖」って変な名前と思っていたら、この人工湖は杭州の西湖(ちなみにこちらは単体で世界遺産に登録されている)にちなんで西湖と名付けられたけれど、西湖よりも小さいので痩西湖と呼ばれていて、そのうち正式名となったとのこと。ほう。確かに湖というよりも、大きな池という雰囲気。
下の写真の左上は、大明寺を借景に造った人工滝。天気がいいと花もキレイ。寒かったけど・・。下の3つの写真は夜におさんぽをした時の痩西湖。夜は夜でライトアップが楽しめます。
歩くのが得意ではない方や、小さい子連れやお年寄りにもやさしく、広い庭園内をカートで移動することもできます。が、ビービーとホーンを鳴らしながら結構なスピードで走るので、歩いている人にはあんまりやさしくない。
古い歴史ある街揚州、楽しい週末トリップでした。楽しかったことは楽しかったのですが、久しぶりに中国旅をする中で、中国の世界遺産ががイマイチぐっとこないことを実感しました。
なぜかというと、中国の重要文化財の多くはここ40年程度で再建されたものばかりというのがひとつの理由。1966年〜76年のこの国の政治的・社会的動乱のイデオロギーのもと、旧思想、旧文化、旧風俗、旧習慣を打破する「破四旧」と呼ばれる運動が展開され、歴史的価値のあるものは徹底的に強奪され、消滅し、いくつかの破壊を免れたものは海外へ流出しています。
見てみたいと思うもののほとんどは徹底的に破壊されているため、今回見た大明寺をふくめ多くの文化財は1970年代後半に再建されたもの。
修復ではなく、再建された美しい建造物や庭園の中にいると、政府の見せたいものを見せたいように見せられている感がどうしても拭えないのです。
なんて・・わたしの心がくもっているから在りし日の姿が映らないのかしら。