ひつじ泥棒2

Who stole my sheep?

昨日までいた重慶ロケの映画『少年の君/Better Days』を観た

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昨夜のブログに書いた重慶で撮影された映画『少年の君(少年的你/Better Days)』を早速観た。内容も役者も作品についても何も知らないまま観た。

作中では「安橋(アンチャオ)市」という架空の街だけれど、撮影は昨日まで旅行でいた重慶。ちょうど昨日行ったところも撮影場所だから・・というノリで見てしまったので、ちょっといろいろ衝撃が大きかった。

あらすじは公式サイトから。

進学校に通う成績優秀な高校3年生のチェン・ニェン。

全国統一大学入試(=高考)を控え殺伐とする校内で、ひたすら参考書に向かい息を潜め卒業までの日々をやり過ごしていた。

そんな中、同級生の女子生徒がクラスメイトのいじめを苦に、校舎から飛び降り自らの命を絶ってしまう。

少女の死体に無遠慮に向けられる生徒たちのスマホのレンズ、その異様な光景に耐えきれなくなったチェン・ニェンは、遺体にそっと自分の上着をかけてやる。

しかし、そのことをきっかけに激しいいじめの矛先はチェン・ニェンへと向かうことに。

彼女の学費のためと犯罪スレスレの商売に手を出している母親以外に身寄りはなく、頼る者もないチェン・ニェン。

同級生たちの悪意が日増しに激しくなる中、下校途中の彼女は集団暴行を受けている少年を目撃し、とっさの判断で彼シャオベイを窮地から救う。

辛く孤独な日々を送る優等生の少女と、ストリートに生きるしかなかった不良少年。

二人の孤独な魂は、いつしか互いに引き合ってゆくのだが・・・。

映画『少年の君』公式サイトより

昨日のブログでも触れたけれど、重慶は高低差が大きい街で「8D都市」の呼び名もあるほど。自分では1階から入ったつもりのビルが、ビル側では22階だったりする。そもそも1階のつもりだった場所も27階。どういうこと?

何層にもなっている街の構造で、配車アプリでタクシーを呼んで、お互いに同じところにピンが刺さっているアプリの画面を見ていても、いる階層が違ってタクシーに出会えない・・というのは重慶のお約束のネタ。そんなことがネタになる街。

映画では、学校や社会のヒエラルキー、苛烈な中国の大学受験、いじめをする側、いじめのターゲット、貧困層ストリートチルドレン、犯罪などが描かれている。複雑で簡単に解決することができない社会構造を、その比喩的表現として、重慶という物理的に複雑な街の作りを背景として効果的に描いているあたりが圧倒的だった。

YouTubeの予告動画を後から見たのだけれど、描かれているいじめのシーンなどは予告版の比ではない陰惨さだったので、心が痛かったし、かなりキツかった。

すごくダークな部分の多いストーリーなものの、難しい状況の10代の若さ(脆さや、純粋さ、不器用さ、愚かさ、とにかくいろいろな意味での若さ)を切なく、リアルに演じていた役者たちがすごかった。

いろいろ思うところがあったので(受験シーンは引くほど強烈だったけど、ほんとなのかなとか)、今度ランゲージエクスチェンジのパートナーに映画の話を聞いてみようと思う。彼女ならきっと観てるはず。

映画のシーンの魁星楼(クイシンタワー)のところの坂。上が映画で、下が昨日の。

高盛創富展示センタービル(22階)から魁星楼(27階)。上が映画で、下が昨日。

重慶の街を歩いていると壁に張り付けられているように見える木がちょくちょくあった。映画にも映っていた。下は一昨日撮った写真。