10年前くらいにテレビ番組で見た「婚活広場」に行ってきました。中国に来たら覗いて見たかった場所のひとつという方も多いのではないでしょうか。……?
くだんの広場は、上海の中心人民広場の北側(上海博物館じゃない側)に位置する「人民公園」。上海市政府やオペラハウスの裏手に広がる大きな公園です。
この「婚活広場」が海外のテレビ局に取り上げられたのは、その婚活形態がユニークということでした。週末の公園に、結婚を希望する男女が集まってのアウトドア婚活パーティーということではなく、ここで行われているのは「代理婚活」。
親戚家族の結びつきの強い中国、結婚もその中のひとつでしたが、時代は流れ、中国でも特に都市部を中心に「結婚を選ばないカード」を選ぶ若い世代が増えて来ました。
そんな結婚しない我が子にやきもきする親たちが、週末の都会のオアシスのようなのどかな公園に集まり、我が子の代わりに婚活をはじめたのが2005年ころのことのようです。
婚活スタイルもなかなかユニークです。当方の条件と、相手に求める条件が書かれた紙を「傘に貼る」というスタイル。なぜ傘なのかはよくわかりませんでした。
遠目でざっと見てもわかるように、びっちりと書かれている紙もあれば、さくっと3行で終わっているようなものまでいろいろです。
大まかには、性別、出身、年齢、身長、学歴、年収、このあたりが一般的な情報。
いろいろ見ていると「出身」情報の中でも売り側にとって、年収以上に上海戸籍が最強カードのようでした。買い手側からの要求を見ても上海戸籍マストや、ちょっと妥協して新上海人も可(最近上海戸籍を取得した人)という人が多かったです。
男女とも高身長であることも、年収よりも高ポイントのようだったことも意外な感じでした。それとも、年収を一番上に持ってくるのはお上品ではないのでしょうか。
生々しい話になってくると、結婚後同居か、独立した家があるか、両親は働いているのか、定年を迎えた両親がいるとか、そんな情報までばっちりと書かれています。
どうでもいいところでは、趣味はバドミントン(羽毛球)が多かったです。
わたしがもし参加するとしたら、かわいい傘の方がいいんじゃないかしらと、傘選びから入りそうな気がしますが、合理的な上海人たちの重要ポイントはそこではなさそう。傘のかわいさには全くもって興味はないようです。
ところで成婚率ってどうなのでしょう。ひと頃と比べるとここの婚活広場パワーも随分と落ち着いしまっていると聞きますが、まったく効果がなければさすがにこれだけの傘は集まらないと思うので、一定の成婚カップルがいるということなのでしょうか。
そもそも、合理的と形容されることの多い中国人が、およそ合理的とは言い難い婚活形態を維持していること自体どうなのでしょう。メインの婚活は別にあって、この傘婚活はデザート的な位置付けなのでしょうか。
もしくは婚活の傘をかぶった、お父さんとお母さんの憩いの場なのか。代理婚活はカモフラージュで、実は、親自身のデート相手探し場だったりなんてことはないですよね。
実は……、妄想が暴走します。
そして、上海や上海近郊に住む結婚しない息子や娘たちを持つ親たちは、今週末も人民公園に集まってくるのでしょう。そして、わたしの謎も深まるばかりです。