わたしの頭の中の麻布十番といえば、外国、たい焼き、アサブジュバーン(byタモリ、フランス語風に)。江戸時代には、仙台藩の江戸屋敷があったそうで、ちょっと親近感…はとくには湧かないですが、ぐるーっとしてきた話。
時は遡り、ペリーが黒船に乗って来航し、鎖国政策が終焉を迎え開国を迎えた時に、外国人の受け入れ先として利用した寺院がこの地区に多かったことから、今でも多くの大使館がここにあるんですって。
駅を出て、麻布十番の商店街を通り抜け暗闇坂を上っていきます。この前も違うところで暗闇坂を見たなと思ったら、都内に7箇所ほどあるそう。そして目に付くのが「Tokyo Maid Service(お手伝いさん紹介所)」の看板がいっぱい。電信柱にはこれか「Ken Corporation(外国人向け高級賃貸事業の会社)」のどちらかがもれなくついてる感じ。
坂の途中にオーストリア大使館。セキュリティがいるわけでもなく、大使館というよりも「文化交流センター」と呼んであげたいかわいらしい雰囲気。掲示板にはバレエ・演劇、音楽・オペラ、展覧会などなど、ステキな感じの情報ばかり。ちなみに、オーストリアもドイツ語圏ですが、そのドイツ語はドイツのそれとは全然違って、例えて言えば京都弁のようなドイツ語なんですって。京都弁のドイツ語…?想像できないですけど。
少し歩くとアルゼンチンの大使館。イグアスの滝や、ペリト・モレノ氷河などの観光ポスターが貼られたガラス張りの空っぽの守衛室には、出入りした方たちの名簿がおきっぱに。緊迫する必要はありませんが、…ゆるい。初めて来ましたアルゼンチン大使館。ちょっとした瀟洒な美術館のような佇まいです。
いつもちょっと疑問だったのですが、世界の都市の生活物価ランキングなんかを見ると、東京は毎年トップ10内。いやいや、他にもっと物価の高い国なんていくらでもあるでしょう、なんでこんなに安いものに溢れた東京が世界のトップ10常連なのかと常々思っていましたが、この辺りに住んでいる各国大使館の駐在者が調査対象だとしたら、それもまったく不思議ありません。近くのマンションの出窓からいい香りのしそうなふわっふわの金色の猫に見下ろされながら納得した次第。
さて。アルゼンチン大使館のちょっと先、仙台坂に到着です。のんびりしたムードから一変、この仙台坂上の交差点、ちょっとしたものものしい空気が漂っています。警察官が配備され、何かあればいつでも道路が封鎖できる状態に。事件か?ちょっとワクワクしつつ、平和な観光客オーラを出して仙台坂に突入です。
ものものしい警備の理由は事件ではなく大韓民国大使館様でした。アルゼンチンの大使館がジブリの森美術館だとすれば、こちらはメトロポリタンミュージアム級のど迫力。警備もど迫力。正面玄関向かいには韓国食品センター。大使館御用達でしょうか。ここのキムチとかきっと美味しいんでしょうね。
警察の方を写すのはさすがにはばかられたので一応気をつけておりましたが、のんきにカメラをブンブンするのが気に食わなかったのか「あの〜、警備上の問題がありますので、終わられましたら…もにょもにょ(早くカメラしまって、とっととお立ち退きくださいっ)」と歯切れの悪い感じで注意を受けました。「いえ、まだ終わってません」なんて堂々とバッシャバッシャ撮り続けるというのも1つだったのかもしれませんが「はーい、すみません」と早々に退散。
地下から湧き出る自然の清水をみたり、飼い主さんとお散歩中のワンや、自由にお一人でお散歩中のニャンをみながら赤羽橋駅方面に向かいます。ニュァーニュァーと呼ぶ割にカメラを向けると知らんぷりする方と遊んだり。
赤羽橋駅のすぐ裏手にはキューバの大使館。シャッターが下りているとつい通りすぎてしまいそうです。キューバに行く時はここにツーリストカードを作りにくればいいのね。ふむふむ。そんな予定はないのですが、気持ちだけはいつでも行きたい。そのまた1本先には、アルゼンチン料理を出すレストラン「エル・カミニート」があります。オーナーシェフは以前アルゼンチンの日本大使館でシェフをされいた方なんですね。
大通りに戻り、次はチリ大使館へ(上の地図の丸あたり)。写真を見てすぐにわかりましたか?
こんなところから国家の存在を主張されていました。
東京タワーを背にしてまっすぐ行くと、慶應三田キャンパスの東門が右手に現れます。本当は麻布十番に戻ってからお茶でもと思っていましたが、もうおなかペッコペコ。慶應の学生御用達と思われるお店で辛い担々麺を頂きます。おなかがいっぱいになったところで、腹ごなしさんぽラストスパート。
大学の周りを歩いていると、普通のマンションの中に入っているように見えるハンガリー大使館。EUとハンガリーの国旗がなければ見過ごしそう。「Magyarország」読めませんが、ハンガリー語で「ハンガリー」だそうです。ということでその下の「Nagykövetség」は「大使館」と想像します。ハンガリー語、かっこいい。
右下はイタリア大使館。中は相当ステキそうですが、門前にはセキュリティーの方がどうやってもフレームインするようにフラフラしているのでもうスルー。実は…そろそろ、飽きてきました、大使館。
左下はイタリア大使館から坂を上った先にある、オーストラリア大使館。どこかの研究機関か大学かといった面持ちです。でもやはりオーストラリアだなあ、と思わせるのかこの玄関写真の左上に見えるこれ。カンガルーとエミュー?よーく見ると電飾をまとっているようにも見えるので、夜はキレイなんでしょうね。
若いスタッフが出入りする平和なオーストラリア大使館前を通り過ぎ、坂を下って首都高を過ぎると正面を走る麻布通りの向こう側に、再び準備万端の警察が見えます。このまま真っ直ぐ行くと韓国の大使館再び。ぐるっと一周して戻って来た感じです。
外国語を使うアルバイトなど、あまり細かい条件を設定せずに検索をすると、各国の大使館でのセキュリティーの仕事がもれなくヒットします。あとこの界隈のマンションの受付やコンシェルジュ、その他駐在者のキッズの通学の送り迎えをするバイト、なんていうのもありました。色々なお仕事があるものですね。
今度はもう少し名前をあまり耳にしない国の大使館めぐり、もしくは各国レストランめぐりにこようかな。はー、歩いた、歩いた。