神保町にある神田珈琲でただ今開催中の「わたしの本」100人展のこと。
たくさんのお客さんの本棚から連れてこられた本たちが並べられていました。圧巻。注文した濃いめのミルクがたっぷりのミルクコーヒーを待つ間に本を物色。
目に飛び込んできた、100人分の1冊。
戒厳令下チリ潜入記―ある映画監督の冒険 (岩波新書 黄版 359)
反政府派のヨーロッパ亡命中チリ人映画監督が祖国に潜入した実話を、コロンビアのノーベル賞作家、ガルシア=マルケスが書き起こしたドキュメンタリー小説。難解すぎて遅々として読み進まないマルケスの小説とは全く違い、続きが気になってグイグイ読み進められるストーリー。
アルゼンチン滞在中に通っていたスペイン語のクラスで読みました。懐かしの1冊が、今回の神田珈琲店主企画で、100人の中の誰か1人に連れてこられた一冊だと思うと、なんだかステキ。
昨年、初めて神田珈琲に立ち寄ったのも、アンティークな小さなビルに入ったそのお店に惹かれたのがきっかけでした。そしてこのスペイン語の教室に通い始めたのも、ブエノスアイレスに引っ越したばかりのころに散歩中に偶然見かけたスペイン語教室の看板と、そのアンティークな建物にときめいたから でした。
ちょうどスペイン語も習いたいと思っていたタイミングだったので、ふらっと立ち寄ったわたしを迎えてくれたのが数匹のネコたち。この建物にネコ。なんの話も聞く前に、心は即決でした。
この日から数年間(長いバケーションをちょいちょい挟みつつ)お世話になったこの教室、ネコたちも先生もとってもよく、楽しく通いました。単にスペイン 語を勉強するというのとはちょっと違った感じもよかった。先生が教材として選ぶ本や映画がこれまた素晴らしく、好きな作家や、好きなジャンルがひろがったのもよかった。
レッスンの間によく足にまとわりついてきたり、プリントの上や膝の上に乗っかってくるネコたち。かわいかったなあ。写真は5匹いたうちの、よく来るふたり。
とかとか。いろんなことを思い出した100人分の1冊に再会できて、うれしかったです。どんな人がこの本を持ってきたのでしょう。知りたいような、知らないままでいたいような。
今週のお題「プレゼントしたい本」