ひつじ泥棒2

Who stole my sheep?

ついていない女たち

 

とある日の午後、仙台。

東南アジア系の食堂でランチをしていたときのこと。おそらくこの近所で働いているであろう、ひとりランチ女子が小さいお店にあつまっていました。1階は5、6人も入るといっぱいの小さなお店。わたしは頼んだフォーを食べ、幸せを噛みしめていました。

ふと横目で隣を見ると、その女性は激辛好きなのか、ちょっと多めに頼んだ生の赤唐辛子をカットしたものを、わしゃっと頼んだヌードルにかけ、さらに調味料の唐辛子を振りかけ、左手におはし、右手にレンゲを持って勢いよくヌードルとスープを一緒に口に運んだその瞬間・・・

ご想像のとおり、大量の生とドライの唐辛子が、吸い込んだ空気と一緒に喉の粘膜に張り付いたのか、辛みが一気に鼻に抜けたのか。はっと気が付いた時には、涙目でむせる女子1名。こうなってしまうともう周りに助けてあげられることはなにもなく、みんな(わ、わかる、その苦しさ)と思いつつ見守る中、息絶え絶えな彼女。

 

一通り用事をすまし、帰る前に寄ったカフェ。検温してから席に案内され、テーブルは、目の前も横もアクリル板で囲まれます。感染対策、徹底していらっしゃいます。

もともと静かなカフェなのですが、たまたまわたしの隣にすわった女子2名のうちのひとりの子の声がよく通る。うるさく騒いでいるわけでもないのですが、この子の声だけがよく聞こえるのです。そしてひとつひとつのアクションの音も大きい。おそらく生活音も全般的に大きいんだろうと想像します。ほとんどの人が紅茶とケーキの時間帯だったのですが、その子だけはなぜかカレーをお召し上がりになっていて、香りもひときわ目立つ。

そんなところにカレーの子のお友達が食べていた焼き菓子かなにかを「ひとついる?」と尋ねました。カレーの子「いる」と手を伸ばしたとき・・・

アクリル板ごとパンチ。友達側にアクリル板倒れる。水の入ったグラスも友達に向かって倒れる。服はびちょびちょ。焼き菓子もびちょびちょ。友達・・・(カレーパンチの子はもちろん無傷)

 

ちょっとした衝撃シーンを立て続けに目撃し、少々動揺の1日。こんな日もあるものなんだと思いながら仙台駅に向かいました。仙台駅は、駅から近隣のいくつかのビルに直接つながるタイル張りのペデストリアンデッキ(歩行者専用の高架歩道橋)になっています。

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ペデストリアンデッキ

細めのヒールを履く方はご経験のある方もいるかもしれませんが、いつもではないのですが「ヒールがタイルの目地(溝の部分)に取られて靴が脱げそうになる」という不幸がごく稀に起こることがあるのです。

前方からひとり、早歩きの女子が来るのを視界に捉えました。察しの良い方はもちろんおわかりのことと存じます。彼女の左足のヒールが運悪く目地にハマったようです。左足をとられ、前のめりに転びそうに・・・なるも右足で踏ん張っている間に運良く左足のヒールが抜け、左足をなんとか前にだしてリカバリー・・・と思ったら、まさかの右足のヒールが目地にハマる。そして左の足も右の足も、自分の意思とはまったく違う動きになりべちゃっとスローで転ぶ彼女。ぐにゃりと地味に、しかし派手に転びましたね・・・

 

この日はたまたまついてない日だったのでしょう。わたしがというより彼女たちが。あの後、どうなったんだろうと帰り道いろいろと妄想をしてしまいました。この日のアンラッキーをカバーして余りあるステキななにかが彼女たちみんなに起こっていますように。