上海の秋の風物詩といえば、上海蟹。9月半ばから上海の食いしん坊たちがそわそわしはじめ、10月の半ばを過ぎるとせっせとせいろで上海蟹を蒸しているようで、最近は街中でもSNSでも上海蟹を見ない日はありません。
・・なんて、わたしは未だ上海蟹の魅力を知らない上海万年初心者です。カニは好きなのですが、どちらかというと大ぶりで、身がぷりっぷりとして、むしゃっとかぶりつくようなカニが、私の中での「ザ・カニ」として出来上がっているので、上海蟹のような小ぶりなカニで、メインのカニみそとわずかな身というのが、どうも・・。
とはいえ、蟹麺は別枠です。蟹粉麺(シエフェンミエン/xiefenmian)という、ほぐしたカニの身とカニみそのとろっとろあんの蟹ソースをかけた蟹麺は大好きです。この蟹麺、上海では年中食べることはできるのですが、このシーズンは旬の上海蟹で食べることができるので特に美味しいシーズンです。
上にたっぷりと乗った、とろみのある蟹ソースを麺に絡めていただきます。混ぜながら食べるよりは、最初に徹底的に混ぜてしまうのが上海流のようです。たぶん。
ぐるぐる混ぜていると麺の下からチンゲン菜が出てくるのですが、チンゲン菜を見ると、コロナのロックダウン期間に大量に配給されたチンゲン菜をどうしても思い出してしまい、ちっと舌打ちをしたい気分になります。チンゲン菜に罪はまったくないのですが・・。
蟹ソースをしっかり絡めたら、そまま食べてもよいのですが、テーブル調味料の中に蟹酢があるので、蟹酢をたっぷりかけて食べても美味しいです。
ちなみにわたしは最初はそのまま、途中から蟹酢をたっぷりまわしかけて味変して食べる派です。他のお客さんをじっと見ていると、最初からたっぷり酢をかける人もいれば、最後まで何もかけない人、酢だけじゃなくお醤油もかける人もいたり、まあ好きに食べたらいいんじゃないかな的な感じで、その辺は特にお作法のようなものはなさそうです。
食べている間にも、ビニールにはいったたくさんのカニたちが厨房へと届けられていたので、きっと夜か明日の蟹麺となるのだと思います。
大変おいしゅうございました。
お店の看板で致命的なミス、チャーミングです。