ひつじ泥棒2

Who stole my sheep?

近ごろのくらし、猫のさんぽ道

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けっこう怖い顔のクマ

2月に実家に来てから、お酒も、ジャンクも、チップスも食べない生活が続いています。7時過ぎには夕食も終わり、その後に何かを食べることももなく。こんなに清らかな食生活を送るのはこどもの時以来。胃だけじゃく、心も清らかになっているかもしれません。

いいことばかりではなく残念なこともあります。めっきり運動不足になりました。もともと動かないのがデフォルトなうえに、外に出なくてもまったくストレスを感じないたちで、先日1ヶ月ぶりに靴をはいた時にはさすがにこれでいいのかと不安になりました。

そんなわけで、せめて週の半分くらいはお散歩をしようと試みるも、やらない言い訳をみつけることにかけては天賦の才があるようで、なかなか靴をはくまでに至らず。習慣化できずにいたのですが、幾度もの失敗を繰り返したどり着いたのが早朝のお散歩です。

お散歩も1度、2度と行くうちにだんだんと行動範囲が広がり、どんどんと思ってもいない方向に足が向かいはじめ、こんな場所にくるようになりました。こんな感じのところなので人と会うこともほとんどないのですが、先日お友達ができました。

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こんな感じのところ

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前方に何かが。アリスの白ウサギかもと追いかける

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待っていてくれました

この方も朝さんぽ派のようです。同じような時間帯に同じようなところでお見かけするので、むこうはわたしのことを新参者がと思っているかもしれません。 

仲間もでき、ようやくお散歩継続かと思っていたところですが、今週は冷たい雨の毎日、さらには住宅地でのクマの出現情報まで出ているそうなので、またやらない理由がみつかってしまいました。こまりました・・

佐藤泰志「函館三部作」海炭市叙景/そこのみにて光輝く/オーバー・フェンス の3本を観る

 

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とても印象的な文字

高校生の頃に何冊か読んだことがある佐藤泰志、ここ10年ほどで映画化されていたのは知っていて、なんとなく気になっていました。函館出身の佐藤泰志原作、オール函館ロケの「函館三部作」と呼ばれる3本を観ました。

三部作だと思っていたら、知らないうちに4作目も映画も公開になっていましたが(『きみの鳥はうたえる』2018年)こちらはまだ未視聴なので、近々見たいです。

映画のタイトル文字や、エンドロールの原作者名の箇所など、この文字が使われていました。特徴があり、なにか引っかかりのある文字で、検索してみたら佐藤泰志の直筆文字でした。この字で原稿用紙が埋まっている小説なんだと思うと不思議な感じがします。映画を作った人たちが、あえてこの文字を映画に使用したのも納得な、ざらっとしたと言いますか、ちょっと呪われそうなと言いますか、何か残るタイプの文字です。

正直なところ、彼の小説を読んだのがあまりにも前のことなので、話も登場人物も全部ごちゃっとなっていてちゃんと覚えていないのですが、読むのがただただしんどかった記憶があります。読んだのは二、三冊だったと思うのですがそのどれもがそういう感じ。登場人物たちの生まれや育ち、今の生活環境、その他いろいろなものが苦しいし、逃げ場もないし、どこにもいけない、やりきれない・・そんな印象だけが残っていました。

読んだ当時、能天気な高校生だったのでそう感じたのかもしれませんし、作家本人が41歳という若さで自ら死を選んだということも、余計にそう思い込んだ理由のひとつだったかもしれません。

そして今回は映画です。見る前から、三作とも手応えのある映画になっているんだろうなと期待させる俳優の名前が並んでいます。

ものっすごく重くて暗いのに仕上がっているのを想像して、かなり覚悟をして見ました。その甲斐(?)もあってか思っていたほどの苦しさは感じず観ることができました。『そこのみにて光輝く』はそれでもしんどかったですけど。それでも映画全体としては3作どれも、監督の作品への想いなのか、原作の物語に対する想いなのか、作家へのリスペクトなのか、もしくは観る人のためなのか、映画を見終わった後も、登場人物たちの生活は淡々と続いていくんだろうという感じがあったのが救いでした。

救いというほど救われているわけではないのですが、それでも閉塞感のまま苦しんで消えていく的な終わり方ではなかったような。本当は小説のほうもそうだったのかもしれないのですが、なんせすごく重い話だった記憶しかなかったもので……。

そんなわけで、映画の中のストーリーでも重さや痛々しさはあるのですが、映画になったことであの小説たちに対してわたしが思っていた重さや痛々しさの部分は、何か一段別のもに昇華されたような気に今はなっています。

もう少し日をあけてもう1度見ようかな。そして原作も読んでみようかな。いや、あまり深追いせずにこのあたりにしておいた方がよさそうかな……

 

海炭市叙景 (通常版) [DVD]

海炭市叙景 (通常版) [DVD]

  • 発売日: 2011/11/03
  • メディア: DVD
 

監督:熊切和嘉 脚本:宇治田隆史 出演:谷村美月竹原ピストル加瀬亮、三浦誠己、山中崇南果歩小林薫

映画 「海炭市叙景」 公式サイト

 

そこのみにて光輝く

そこのみにて光輝く

  • 発売日: 2015/02/14
  • メディア: Prime Video
 

監督:呉美保 脚本:高田亮 出演:綾野剛池脇千鶴菅田将暉高橋一也火野正平伊佐山ひろ子、田村奏二郎

映画『そこのみにて光輝く』公式サイト

 

オーバー・フェンス

オーバー・フェンス

  • 発売日: 2017/05/24
  • メディア: Prime Video
 

監督:山下敦啓 脚本:高田亮 出演:オダギリジョー蒼井優松田翔太北村有起哉満島真之介、松澤匠、鈴木常吉、優香

オーバー・フェンス - Wikipedia(公式サイトリンク切れ)

 

上のリンクは映画の公開順に並べましたが、わたしは新しい順に見ました。特に意味はないのですが。

 

 

お題「#おうち時間

気になるお店の看板たち9選(未掲載編)

 

街の景観や、建築物の美しさを邪魔する広告看板はなくなってしまえばいいのに……と常々思っているのですが、お店などの看板やサインとなると話は別で、オーナーのこだわりが見えるものや、んんん?と思わせるものは大好物です。

お散歩中や旅先で見かけた、これぞというものはその都度ブログに載せていることが多いのですが、今まで載せていないものの中から(たぶん)いくつか選んでみました。 

カラーから3選

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ズキ・ビリ・ガク・グキ・ギク いろいろ大変

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ロバママ?ウスノロママ?何ママ?

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過不足なく全てを表現しています

「black over yellow」な感じ、色のコンビネーションにパンチが効いているだけに、この色で何を伝えるかはお店のセンスによるところ。あ、ドンキーママの伝えたいところは汲み取れなかったのですが、それはひとえにわたしの修行が足りていないがゆえでございまして、ドンキーママのせいでは決してございません。

フォルムから3選

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オシャレタウン代々木上原に哀愁漂うマイクの立体サイン

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オーナーにもこれを期待したくなる

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サイン、しかも3本、突き出し系

お店の看板そのもので語る系もなかなかです。この3つもみなさん表現方法が違うのですが、それぞれメッセージがバシっと伝わってくる秀作ぞろい。(個人の感想です)

ザワっときた3選 

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うまいこと言ったでしょ感がちょっと鼻につく系

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燭台って何?

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燭台ってなになに?

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喫茶カップメン 説明求む

最後3店はノージャンルです。1店目の牡蠣のお店はこれで牡蠣を出さないお店だったらびっくりですが、きっと牡蠣はありますよね。気になります。2店目の「燭台」は何のお店か全くわからないタイプ、とても気になります。喫茶店かもしれないし、何か怪しげな空気を感じなくもないあたり、どうとも解釈できるタイプで結構好みです。しかも燭台をケースに入れてお店のサインにしているなんて斬新。そもそも「燭台」というチョイスそのものがなんかすごい。3店目は「喫茶」と書いてあるからには喫茶で間違いないのでしょうが、なぜ「カップメン」なのでしょう。お店の中が見えないところがまたいろいろと、無駄に(?)想像力を掻き立てられます。

 

お店の看板は、広告宣伝向けのビル看板などと違い、基本的にはお店の前、少なくともお店の側にあるというのが前提なため、どんな色にするか、どんな形にするか、どんな情報を載せるかの自由度が高いところがおもしろくもあり、難しくもあり。

今後もいろいろなお店看板に期待しております。

 

 

大江ビルヂング

 

大阪市役所近く、中之島・北浜界隈を中心としたエリアには大大阪時代(大正後期〜昭和初期)のレトロビルが数多く残っていて、レトロビル好きのお散歩コースにぴったりで、個人的にはとても心踊る街並みです。

場所はお散歩にぴったりなのですが、暖冬と言われた今年の冬の今期一番の寒さですとニュースで言っていた2月の初めの頃で、お天気としてはお散歩日和とはほど遠く、空気もピリピリしてちぎれそうな寒さでした。

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大江ビルヂング

大江ビルヂングは、ビル正面の上が和風の屋根のようなデザインになっているのがちょっとかわいい感じです。大阪高等裁判所の近くというロケーションだからか、弁護士事務所がたくさん入居しているようでした。と思ったら、この大江ビルヂングの名前になっている大江氏という弁護士が法律家向けのテナントビルとして大正時代に建てたのだそうです。

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こういうビルで働きたい

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地下には「アキラ(理容室)」

このピッカピカのクルクルのサイン、本当にピッカピカに磨かれていて、アキラの職人としての心意気がビシーっと伝わってきます。毎日ピッカピカにしているんですね。本当はフルサイズでも撮ったのですが、あまりにもピッカピカでしっかりと自分が写り込んでしまいました。

ピッカピカと言えば、高校生のころにKFCでアルバイトをしていたことがあるのですが、閉店時にカーネルサンダースを正面からハグするように店内に連れてきてピッカピカにする係がありました。ちなみにあのメガネは本物の老眼鏡でした。

 

続・おうち時間(カテゴリ: アルゼンチン)

 

ゴールデンウィークは好きな本を読んで、映画を観て......と楽しみにしていたのですが、休みになることなくむしろいつも以上に忙しく。グチグチ言おうと思っていたら「1月から2月にかけて2週間がっちりお休みしてませんでした?」と先手を打たれました。わたしの中でそれはそれこれはこれですが、「そうですよね」と流すしかなく。

読書はできていないのですが、寝る前などに、映画を流し見しています。じっくり観たのは先日ブログに書いた「セブン・イヤーズ・イン・チベット」と「クンドゥン」だけですが、他はすでに何度か観たことのあるものを中心に、見るともなく流していました。大きくわけて3カテゴリ「アルゼンチン」「伊坂幸太郎」「ウイルス感染」

今回はカテゴリ:アルゼンチンの映画たちを並べてみます。

ル・コルビュジエの家(字幕版)
 

数年前に新宿の映画館でやっていたラテン映画祭で観た作品。上野の国立西洋美術館本館などを含む建築物が世界遺産となっているル・コルビュジエ。そのうちのひとつ、アルゼンチンのラプラタ市にあるコルビュジエの建築物を舞台に、セレブなデザイナーと隣に住むサイコパスとの間で繰り広げられる、隣人トラブルの話です。アルゼンチンの得意な、笑えないコメディな感じがクセになります。(初見の時のブログ:ラテン!ラテン!ラテン! | ひつじ泥棒 )

人生スイッチ(字幕版)

人生スイッチ(字幕版)

  • 発売日: 2016/02/02
  • メディア: Prime Video
 

サイコパス度がひどくて笑えないコメディ(そんなカテゴリがあるのでしょうか)の代表と言えばこれでしょうか。まったく笑えないサイコパスたちが繰り広げるオムニバス。大好物です。公開当時ブエノスアイレスではまわりの人は全員見ていたと思います。まったく泣けるシーンなどないのに、一緒に見に行った友達が最後に泣いていてびっくりしました。他人の泣き所ってどこにあるかわからないです。ブエノスアイレスでも見て、日本の公開時にも見たのにブログには書かなかったみたい。なかなかブラックな内容なので感想をうまく文字にする自信がなかったのか。

エル・クラン(字幕版)

エル・クラン(字幕版)

  • 発売日: 2017/05/18
  • メディア: Prime Video
 

ブエノスアイレス近郊のサン・イシドロという高級住宅街で、1982年から1985年、ある家族が実際に起こした身代金ビジネスがらみの連続誘拐殺人事件の話。軍事政権から民主制に政治体制が変わった頃の話で、犯行の手口、警察が踏み込んでの逮捕、その後の裁判まで映画になっているのですが、ハラハラドキドキサスペンスというよりは、アルゼンチンの映画らしく、わかりやすい盛り上がりどころは作らず、ヌルヌルと進む展開、そして最後はひどいです。個人的には、南米人特有の(と言っては語弊があるかもしれませんが)二枚舌っぷりが見所でした。

その他、コメントは割愛しますが、こちらの3作品も流していました。

フォーカス(字幕版)

フォーカス(字幕版)

  • 発売日: 2015/07/29
  • メディア: Prime Video
 

流し見ではなく、これからちゃんとフルで観る予定のものは、この3作品。 

永遠に僕のもの(字幕版)

永遠に僕のもの(字幕版)

  • 発売日: 2020/02/04
  • メディア: Prime Video
 
エンド・オブ・トンネル(字幕版)

エンド・オブ・トンネル(字幕版)

  • 発売日: 2017/05/03
  • メディア: Prime Video
 

www.netflix.com

 

こうやってみると、すごく見ているような気になりましたが、実際はただ流しっぱなしの雑音のようになっています。

今後、残りの2カテゴリのものを書くか、書かないか……

次なるカテゴリとしては、まだ見たことのない中国、韓国あたりの映画も見てみたいなと考えています。あとは有名どころのアニメーション。未だに「となりのトトロ」も見たことがなく、外国人に「そんな日本人イヤだ」と言われます。そろそろ見ようかなとテレビ放送があるたびに思うのですが、昨年のM-1かまいたちのネタで「トトロ見たことない自慢」をやっていたので、せっかくならわたしもこのまま見ないでおこうかなとか思ったり、思わなかったり。

 

お題「#おうち時間

『エドワード・ゴーリーの優雅な秘密』ムック本 #次に行きたい旅先候補

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ギャシュリークラムのちびっ子たち

エドワード・ゴーリーのにまつわるいろいろがギュギュっとつまったムック本『エドワード・ゴーリーの優雅な秘密』を姉が持ってきてくれました。

エドワード・ゴーリーは、シュールで、ニヒル、ちょっと残酷、けっこう不気味で、ダークでホラーな雰囲気漂う線画と、まったく同じ感じの(シュールで、ニヒル……)短い文章で綴られる、絵本というには毒っ気の多い読み物を描くアメリカ人作家です。

お話の結末にくる結末的なものに、教訓や道徳がないような(あるのかも)ところも彼の本の魅力のひとつ。個人の感想です。

原語版だけでもその本の持つ威力は計り知れないのですが、その世界観(シュールで、ニヒル……)もまるごと翻訳されている、柴田元幸の日本語版も秀逸です。

みんなだいすきゴーリー!なタイプでは決してありませんが、好きな人は、じわじわと、そしてずぶずぶとはまっていく、そんなタイプの絵本たち。

ゴーリー代表作のカテゴリーに、アルファベット・ブックと呼ばれるものがあります。AからZまで順番にいく、日本のあいうえおカルタ的なもの。例えば、上の写真『ギャシュリークラムのちびっ子たち』では、AからZまでのアルファベットの名前のつく子どもたちが登場します。そして、次々と悲惨な目にあっていくだけという絵本。文字だけでみても想像力を掻き立てられますが、絵と一緒に見るとその無言のオーラがすごい。

Kはケイト まさかりぐさり
Lはリーオ がびょうをごくり

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華々しき鼻血

そして、そのタイトルからして強烈なインパクトを放つ『華々しき鼻血』。こちらは副詞がAからZまでいきます。この26の副詞を選んだセンスもすごいですし、そこにこの日本語をあててきた柴田元幸もすごいんです。

うかつにも さんばしから おちる

(He fell off the pier Inadvertently)

ねちねちと よくあつてきに こごと

(He spoke to the child Repressively)

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ゴーリーとネコ

このままいくと全絵本語りにそうなので、このあたりでやめておきます。

こちらはムック本ですので、絵本を紹介しているだけではなく、このゴーリーを見つけてきた編集者のインタビュー、そしてそのインタビュアーが日本語版の翻訳者である柴田元幸というのがまたお見事。

そして、このムック本の中でわたしが一番ときめいたのは、ゴーリーが2000年に亡くなるまでネコたちとともに暮らしていた築200年を超えるアメリカ、マサチューセッツ州の東端にとぅるんと突き出た半島、ケープコッドにある「エドワード・ゴーリー・ハウス」のこと。

ゴーリーが生きていたときをほぼそのまま残し、原画をはじめ身の回りのものなどが展示されているそうです。

ゴーリーのお話の中にはネコがよく出てくるのですが、ザ・ゴーリー・ワールドにおいて、唯一不幸の餌食にならないネコたち。ゴーリーはネコが大好きだったそうです。

このムック本の中には、窓がたくさんあって、ここにネコがいたら最高ですねーな妄想膨らむゴーリーハウスの写真もたくさんあり、次に行きたい旅の候補地にランクインです。

アメリカ、マサチューセッツ、ケープコッド。

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絵本の中で不幸な目にぜったい合わないネコたち

edwardgoreyhouse.org

www.massvacation.jp

お題「#おうち時間