ひつじ泥棒2

Who stole my sheep?

2011年7月22日(金)のノルウェー

2011年7月22日、ノルウェーの首都オスロウトヤ島で発生した連続無差別テロ。市内政府庁舎爆破と、ウトヤ島でサマーキャンプに参加していた10代の学生たちを狙った銃乱射。両方の事件で77人の命が奪われ、319人の負傷者のうち99人は重症。

この犯人が当時32歳のノルウェー人による単独犯行だったことも、受け止められない衝撃でした。

東日本大震災の記憶も生々しく、重い気持ち引きずったまま、当時はブラジルに住んでいて、寒い冬の7月で、震災とかテロとか救いはないのかと打ちのめされた気持ちを今も覚えています。

亡くなられた方々のご冥福を心からお祈りいたします。

ウトヤ島 via  CSMonitor.com

このテロ事件のうちのウトヤ島での事件を、全編97分のうち、実際の事件の経過と同じ72分をワンカットで映像化した映画『ウトヤ島、7月22日』・・

なのですが、そのあたりの映画に関する情報を全く知らずに観始めてしまい、まるで自分がウトヤ島に放り込まれたような、何がどうなっているのかわからない中響く鳴り止まない銃声を72分間聞き続けているひとりになった気分になってしまいました。

その緊迫感や緊張感たるや。映画が終わり、ひたすらぐったり・・

映画の冒頭に、主人公が「理解できないだろうけど、最後まで見て」とカメラの向こうにいるであろう観客に話しかけるシーンから始まるのですが、その通り理解できないまま巻き込まれていって、そのまま終わるという映画。

この映画の後に続けて(さすがに重すぎて数日置いて・・)観たのが、テロの被害者の少年が身体と心に負ったトラウマに向き合う過程を中心に描いた映画『7月22日』です。この映画では、事件の全貌、ウトヤで生き残ったサバイバーたち、家族、オスロの庁舎爆破事件、警察、犯人、犯人の弁護士、その後の法廷・裁判なども描かれています。

俯瞰で事件を見ることもできるし、登場人物それぞれの視点で見ることもでき(この犯人を弁護する立場になった弁護士とか・・)『ウトヤ島、7月22日』ともまた違った重い気持ちになりました。

www.netflix.com

当時のニュースで驚いたことですが、犯人が自身の精神鑑定をする医師に日本人医師を希望していたとか。犯人は移民政策や多文化主義を敵視していて、日本や韓国のようないわゆる移民政策を取らない国だからという理由のよう。もちろん認められませんでしたが。

ノルウェーは死刑制度のない国で、わたし個人としては死刑制度に対して自分なりに思うことがあるのですが、77人もの命を奪ったこの男が禁錮最低10年、最長21年(21年刑期の後、被告の社会復帰が危険と判断されれば刑期は延長可能)ということも、なかなか飲み込めないものがありました。

昨年、刑期が10年を過ぎたということで、ノルウェーの刑法に則って仮釈放の申請をしたというニュースを見たときもほんとうに驚きました。再犯の危険があると判断され仮釈放申請は却下されています。

歴史上最悪の犯罪と言われるほどの凶悪な犯罪を犯し、現行犯として逮捕されているので冤罪の可能性もなく、更生の可能性はほとんどなく、極めて危険な思想をのある人を裁くってどうしたらいいのでしょう。

一通り記事や報告を読んでいた事件ですが、今回この2本の映画を映像で見て改めて・・、しんどい。映像ってすごい。